ガットのテンション(ポンド)の目安|レベル別の相場と上げるときの注意点
「ガットは何ポンドで張ればいいの?」「周りが27ポンドと聞いて、自分も上げたほうがいいのかな?」——バドミントンを続けていると、ガットのテンション(張りの強さ)で必ず一度は迷います。数字が大きいほど上手そうに見えて、つい高めに張りたくなるものです。
この記事では、テンションとは何かという基本から、高い・低いで打球がどう変わるか、初心者・中級者・上級者それぞれの相場観、そして「いきなり上げてはいけない理由」と自分の適正の見つけ方までを、一般論としてわかりやすく整理します。数値はいずれも目安で、メーカーや製品、体格によって変わる点を前提にお読みください。
ガットのテンションとは?数字が大きい=硬く張る
テンションとは、ラケットにガット(ストリング)を張るときの張りの強さのことで、一般に「ポンド」という単位で表します。よく「22ポンドで張った」といった言い方をしますが、この数字が大きいほど強い力で引っ張って張る、つまり面が硬く仕上がると考えてください。逆に数字が小さいほど、面はやわらかく仕上がります。
硬く張った面は、ボールをとらえたときのたわみ(へこみ)が小さくなります。やわらかく張った面は大きくたわみ、その反発でシャトルを押し返します。この「面のたわみ方」の違いが、次の章で見る打球感や飛び方の差につながっていきます。
ポンドの数字が大きい=硬く張る=面のたわみが小さい。数字が小さい=やわらかく張る=面が大きくたわむ、と覚えると理解がスムーズです。
なお、同じテンションでもガットの太さ(ゲージ)や素材によって打球感は変わります。細いガットと太いガットでは反発や耐久が違うため、テンションだけでなくガット選びとセットで考えるのがおすすめです。太さについてはガットの太さ(ゲージ)の違いで詳しく解説しています。
テンションが高い・低いで何が変わるか
テンションの高低は、打球感・飛び・コントロール・体への負担に影響します。どちらが優れているという話ではなく、それぞれにメリットと引き換えのデメリットがあります。まずは大まかな傾向を表で見てみましょう。
| 項目 | 高いテンション(硬い) | 低いテンション(やわらかい) |
|---|---|---|
| 面のたわみ | 小さい | 大きい |
| 反発による飛び | ガットの反発は借りにくい | 反発を借りやすく飛ばしやすい |
| コントロール | 面で押せる人は出しやすい | やや暴れやすい |
| 必要なスイングスピード | 速いスイングが前提 | ゆっくりでも扱いやすい |
| 体への負担 | 大きくなりやすい | 小さめ |
高いテンションは、面でしっかりシャトルを押し込める人ほど、鋭い打球や思い通りのコントロールを引き出しやすい傾向があります。ただしそれは十分なスイングスピードがあってこそで、力がないままだと反発の助けを失って「飛ばない・重い」と感じることもあります。
低いテンションは面が大きくたわんでガットの反発を借りやすいため、少ない力でもシャトルを飛ばしやすいのが利点です。一方で面がたわむぶん、打点によっては打球が暴れてコントロールしづらく感じる場面もあります。
「高い=上手い・良い」ではありません。自分のスイングスピードで押し切れる範囲かどうかが、快適に打てるテンションの分かれ目です。
レベル別のテンション相場観(あくまで目安)
「では自分は何ポンドが妥当なのか」という疑問に、レベル別の相場観でお答えします。ただしこれは公的な基準ではなく、一般的にこのあたりが多いとされる目安です。最終的な適正はスイングスピードや体格、好みによって変わります。
| レベル | テンションの目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 初心者 | 16〜20ポンド前後 | 反発を借りて飛ばしやすく、体への負担も少ない |
| 中級者 | 20〜24ポンド | スイングの安定に合わせて少しずつ硬さを上げていく |
| 上級者 | 約27〜30ポンド | 速いスイングで面を押し込み、コントロール重視 |
ポイントは、レベルが上がるにつれて段階的にテンションが高くなっていくという流れです。これはスイングスピードの向上に合わせて、少しずつ硬い面でも押せるようになるためです。初心者がいきなり上級者向けの27ポンドを選ぶと、多くの場合スイングが追いつかず、快適に打てません。
上の数値はあくまで相場観です。同じ中級者でもパワーやプレースタイルで最適値は異なります。表は出発点として使い、実際は打った感覚で微調整してください。
いきなり上げてはいけない理由
周りが高いテンションで張っていると、自分も一気に上げたくなります。しかし、いきなり大きく上げるのはおすすめできません。理由はテンションとスイングスピードの関係にあります。
高いテンションの面は、面でシャトルをしっかり押し込むだけの速いスイングがあって、はじめて反発してくれます。スイングスピードが不足したまま硬く張ると、ガットの反発を借りられず、かえって飛ばなくなります。「上げたのに前より飛ばない・重い」という状態は、テンションがスイングに対して硬すぎるサインです。
さらに、無理に硬い面を打ち続けると、腕やひじへの負担も大きくなりやすくなります。テンションはスイングスピードの成長に合わせて、少しずつ上げていくのが自然な進め方です。
テンションはスイングスピードとセット。スイングが速くなるほど硬い面でも押せるようになり、上げるメリットが出てきます。順番を逆にしないことが大切です。
メーカー推奨範囲と保証|超過のリスク
テンションを上げるときにもう一つ必ず確認したいのが、そのラケットのメーカー推奨テンション範囲です。各ラケットにはメーカーが定めた推奨範囲があり、フレーム内側などに表示されていることが多くあります(表示位置や表記はメーカー・製品により異なります)。
この推奨範囲を超えて張ると、次のようなリスクがあります。
- メーカー保証の対象外になる
- フレームにひび割れが生じる
- フレームが折れて破損する
とくに、フレームは高いテンションで強く引っ張られ続けると負荷が蓄積し、限界を超えると破損につながります。上級者向けの高テンションに憧れても、まずは手持ちのラケットが対応している範囲かどうかを確認し、その中で調整するのが基本です。範囲が分からない場合は、購入店や張り替えを頼むお店に相談すると安心です。
「上級者は27〜30ポンド」という相場観は、あくまでそのテンションに対応したラケットとスイングがある前提の話です。推奨範囲を超える指定は、保証外・破損リスクを承知のうえで自己責任になります。
また、ガット自体の切れやすさもテンションと関係します。高テンションはガットへの負荷が大きく、寿命が短くなる傾向があります。切れる原因や張り替えの目安についてはガットの張り替え時期はいつ?もあわせてご覧ください。
自分の適正の見つけ方(1ポンドずつ調整)
最適なテンションは人それぞれで、一度で正解にたどり着くものではありません。おすすめは、張り替えのたびに1ポンドずつ調整して、前回と比べていく方法です。一度に2〜3ポンド動かすと変化が大きすぎて、何が良かったのか分からなくなりがちです。
調整の手がかりは打球感です。次のような感覚を目安にしてください。
- 飛びが足りない・重いと感じる → テンションを少し下げる(またはガットを見直す)
- 打球が暴れてコントロールしづらい → テンションを少し上げる
- ちょうど良く飛んで狙ったところに置ける → 今のテンションが合っている
また、季節による調整も覚えておくと役立ちます。冬場など気温が低い時期はガットが縮んで張りが強く感じられ、切れやすくもなります。寒い時期はテンションを普段より少し下げる、太めのゲージを選ぶといった対策があります。
張り替え日と張ったテンションを記録しておくと、「前回より1ポンド上げてどう変わったか」を客観的に比較できます。感覚だけに頼らず、履歴を残すのが上達への近道です。
なお、テンションと同じく打球感を左右する要素にラケットのしなり(シャフトの硬さ)があります。硬さの違いはラケットのシャフトの硬さとは?で解説しているので、道具全体のバランスで考えたい方は参考にしてください。
よくある質問
初心者は何ポンドで張ればいいですか?
あくまで相場観ですが、初心者は16〜20ポンド前後が目安とされています。テンションが低いほど弾きに頼らず反発の力を借りやすく、少ない力でも飛ばしやすいためです。まずは低めから始め、スイングが安定してきたら少しずつ上げていく進め方が無理がありません。適正はスイングスピードや体格によって変わるため、数値はあくまで出発点として考えてください。
テンションを上げると本当にスマッシュは速くなりますか?
十分なスイングスピードがあることが前提です。高いテンションはガット面のたわみが小さく、面でしっかり押せる人ほど鋭い打球やコントロールを得やすくなります。一方でスイングスピードが足りないままテンションだけ上げると、反発の助けを失って逆に飛ばなくなったり、体に負担がかかったりします。速さは張り方だけでなくスイングとの相性で決まると考えてください。
メーカーの推奨テンションを超えて張っても大丈夫ですか?
おすすめできません。各ラケットにはメーカーが定めた推奨テンション範囲があり、これを超えて張るとメーカー保証の対象外になるほか、フレームのひび割れや折れといった破損のリスクが高まります。上級者向けの高テンションを試したい場合でも、まずは使用中のラケットの推奨範囲を確認し、その中で調整するのが基本です。
冬になるとガットが切れやすいのはなぜですか?
低気温になるとガットが縮んで張りが強くなり、寒さで素材自体もしなやかさを失って切れやすくなるとされています。冬場の対策としては、テンションを普段より少し下げる、太めのゲージを選ぶといった方法があります。あくまで一般的な傾向で、感じ方には個人差があるため、自分の使用環境に合わせて調整してください。
自分に合ったテンションはどうやって見つければいいですか?
一度に大きく変えず、張り替えのたびに1ポンドずつ調整して比べるのが確実です。飛びが足りないと感じたら下げる、打球が暴れてコントロールしづらいと感じたら少し上げる、といったように打球感を手がかりに探します。張り替え日とテンションを記録しておくと、前回との違いを比較しやすくなります。
まとめ
- テンションのポンド数が大きい=硬く張る(面のたわみが小さい)、小さい=やわらかく張る、という関係を押さえる。
- 高いテンションはコントロール向き、低いテンションは反発で飛ばしやすい。どちらが上ということはない。
- レベル別の相場観(目安)は初心者16〜20・中級20〜24・上級約27〜30ポンド。公的基準ではない。
- いきなり上げると反発を失って飛ばなくなる。スイングスピードの成長に合わせて段階的に上げる。
- メーカー推奨範囲を超えると保証外・フレーム破損のリスク。張り替え日とテンションは記録して1ポンドずつ調整する。
テンションは「高ければ上手い」ではなく、自分のスイングと目的に合っているかがすべてです。数値はあくまで相場観・目安として、実際は打った感覚を頼りに1ポンドずつ探っていきましょう。履歴を残しながら少しずつ調整すれば、あなたにとって一番気持ちよく打てるテンションにきっと近づけます。
本記事は各メーカー公式サイトの規格情報と、複数のバドミントン専門店・専門メディアで共通して語られる内容をもとに編集部が構成しています。
※数値・仕様はメーカー・製品により異なります。購入・使用の際は各製品の表示をご確認ください。