ルール・審判・運営

バドミントン大会のタイムテーブル作成術|1試合の所要時間と逆算のコツ

「体育館を借りたけれど、この人数・種目数で本当に時間内に終わるだろうか」——バドミントン大会を運営する幹事なら誰もが一度は悩むポイントです。この記事では、大会・サークルの運営担当者に向けて、「点数×0.75分」の実務式種目別の平均試合時間をもとに、無理のないタイムテーブル(進行表)を逆算で組み立てる方法を解説します。

この記事を読むと、1試合の所要時間の見積もり方、1コート1時間あたりの試合数の考え方、受付・開会式・昼休憩・表彰を含めた1日の組み立て方、そして遅延したときのリカバリー術がわかります。

タイムテーブルは大会運営の背骨

タイムテーブルとは、受付開始から表彰・撤収までの1日の流れを時刻で区切った進行表のことです。単なる目安表ではなく、大会が「借りた時間内に無事終わるか」を左右する運営の背骨といえます。時間設計が甘いと、最終種目が体育館の利用終了時刻に間に合わず、試合を途中で打ち切ったり、決勝の点数を減らしたりといった苦しい判断を迫られることになります。

タイムテーブルづくりの出発点は、次の3つの制約を数字で押さえることです。

  • 使える時間:体育館の利用開始〜終了時刻(準備・撤収を含む)
  • 使えるコート数:同時進行できる試合の数
  • こなす試合数:種目数・参加者数・試合形式(リーグ/トーナメント)から決まる総試合数

この3つが揃うと、「1日で何試合こなせるか」と「実際に必要な試合数」を突き合わせられます。試合数そのものの設計はコート数と時間から逆算するバドミントン大会の試合数設計で詳しく解説しているので、本記事とあわせて読むと精度が上がります。ここではその試合数が決まったあとの、時間割の作り方に絞って解説します。

ポイント

タイムテーブルは「使える時間 ÷ 1試合の所要時間 × コート数」でこなせる試合数の上限を出し、それが実際の必要試合数を上回るように逆算して組みます。まず1試合の所要時間を正しく見積もることが第一歩です。

1試合の所要時間の目安(実務式と種目別平均)

所要時間の見積もりで便利なのが、運営現場で使われる実務式「点数×0.75分」です。これは1ゲームにかかる時間の目安で、たとえば現行の21点制なら 21×0.75=約16分 という計算になります。得点ルールは現行は21点制(2027年1月4日から15点制へ移行予定)のため、15点制に移行した場合は 15×0.75=約11分 が1ゲームの目安になります。

点数(1ゲーム)実務式の計算1ゲームの目安
21点(現行)21×0.75約16分
15点(2027年1月4日〜予定)15×0.75約11分
11点(時間短縮の例)11×0.75約8分

1ゲームだけでなく、種目全体(3ゲームマッチ)で考えるときの目安が種目別の平均試合時間で約35〜40分です。多くの試合はストレート(2ゲーム)で決着しますが、フルセット(3ゲーム)にもつれると45〜75分程度かかることもあります。次の表は運営の見積もり用の目安です。

決着パターンおおよその所要時間の目安
種目平均(現行21点制)約35〜40分
フルセットにもつれた場合約45〜75分

試合の途中には競技規則で認められた休憩があります。いずれかが11点に達したときに60秒、各ゲームの間に120秒のインターバルです。この休憩時間も所要時間に含めて見積もると、実際の進行とのズレを小さくできます。

ポイント

「点数×0.75分」や種目平均35〜40分はあくまで運営実務値で、公式規程ではありません。競技レベルが高いほどラリーが長引き時間もかかる傾向があります。※大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。

1コート1時間あたりの試合数を出す

所要時間がわかったら、次は「1コートで1時間に何試合こなせるか」を出します。実務では、コートへの整列・入替、スコアの記録や次の呼び出しといった付随時間も加味して、1コート1時間あたり2試合程度を想定するのが一般的です。試合そのものが35〜40分でも、入替や記録を含めると1試合あたり実質30分前後で回すイメージです。

ここから、コート数と使える時間を掛け合わせれば、その日にこなせる試合数の上限が見えてきます。

コート数3時間(目安)5時間(目安)7時間(目安)
4コート約24試合約40試合約56試合
6コート約36試合約60試合約84試合
8コート約48試合約80試合約112試合

※上表は「1コート1時間=2試合」で計算した概算です。受付・開会式・昼休憩・表彰の時間は含んでいないため、実際にはこの数字から進行以外の時間を差し引いて考えます。

必要な試合数の側は、リーグ戦なら総当たりの公式「n×(n-1)÷2」で計算できます。たとえば4チームなら6試合、5チームなら10試合、8チームなら28試合です。予選リーグ+決勝トーナメントの組み方を含めた試合数の設計は、試合数設計の記事で具体的に解説しています。

1グループのチーム数総当たりの試合数(n×(n-1)÷2)
4チーム6試合
5チーム10試合
8チーム28試合
ポイント

「こなせる試合数の上限」が「必要な試合数」を下回りそうなら、コートを増やす・点数を減らす・種目を絞る・グループを小さく分けるなどで調整します。ギリギリではなく、遅延を吸収できる余白を残すのが安全な設計です。

進行表の組み方(受付・開会式・昼休憩・表彰)

試合数と所要時間の見積もりができたら、1日の進行表に落とし込みます。試合以外にも、受付・開会式・昼休憩・表彰といった「試合以外の時間」が必ず発生します。これらを先に確保してから、残った時間に試合を割り付けるのがコツです。以下は6時間利用(例:9:00〜15:00)を想定した進行表の一例です。

時刻(例)内容目安時間
8:30スタッフ集合・コート設営・ネット準備30分
9:00受付開始30分
9:30開会式・ルール説明・組み合わせ確認15分
9:45予選リーグ 開始
12:00昼休憩(+進行調整のバッファ)45分
12:45決勝トーナメント 開始
14:30決勝・順位決定戦
14:45表彰式・記念撮影15分
15:00撤収完了

組み合わせ表(ドロー)は、レフェリーの指示の下で厳正に作成するのが大会運営規程の考え方です(第28条)。前年度同一大会の1回戦で当たった者同士が再び1回戦で当たるのを避ける(第30条)、同一所属からの複数参加はできる限り等分に分ける(第31条)といった配慮も、進行の公平性とあわせて意識したいところです。シード配置やバイの割り当てなど、ドロー作成の実務手順はバドミントン大会の組み合わせ(ドロー)の作り方にまとめています。

団体戦を組み込む場合、対戦順は大会ごとに要項で異なります。代表例として、全日本実業団(2026年・第76回)は2複3単で「第1複→第2複→第1単→第2単→第3単」の順、決勝トーナメントでは勝敗が決した時点で打ち切りとされています。S/Jリーグは2複1単(複→単→複)でオーダーフリー・単複兼任不可という形式です。いずれも一例であり、形式・対戦順は大会ごとに要項で異なりますので、自大会の要項で必ず確認してください。

ポイント

昼休憩や表彰前には、進行のズレを吸収するバッファ(調整用の余白)を組み込みます。予定どおりなら休憩を長めに、遅れていれば短縮する——このように「削れる時間」をあらかじめ用意しておくと、当日の運営がぐっと楽になります。

遅延したときのリカバリー

どれだけ丁寧に組んでも、フルセットの続出や棄権対応で進行は遅れます。遅延に気づいたら、次のような手を早めに打つのが鉄則です。

  1. バッファを削る:昼休憩や表彰前の余白時間を短縮する。最初から余白を仕込んでおくほど効きます。
  2. 空きコートへ前倒し:早く終わったコートへ、次のラウンドの試合を繰り上げて割り当てる。呼び出しを先読みしておくとスムーズです。
  3. アナウンス・式典を簡潔に:開会式や説明を要点に絞り、待ち時間を減らす。
  4. やむを得ない場合は得点を調整:終盤の試合の先取点を下げるなど。ただし公平性に直結するため、事前に要項で可能性を示し、当日は運営本部の判断で統一します。

棄権が出たときの記録は、競技規則(大会運営規程)に沿って扱います。棄権時は直前のスコアを記し、棄権の旨を書き添えるのが基本です(第26条)。また、マッチを棄権した者は同一大会のその後の全種目に出場できない(第19条)、失格者は同一大会の全エントリー種目で失格(第21条)といった規定もあるため、棄権・失格が出たら以降の組み合わせへの影響も確認します。

リーグ戦の順位決定は、進行が詰まっているときほど「特別試合を行わずに基準で決める」方式が助かります。代表例として、バドミントン日本リーグ規定では「勝点(勝1・負0・棄権/没収は-1)→取得マッチ率→取得ゲーム率→取得ポイント率」で順位を決め、順位決定の特別試合は行わないとされています。ただし一般大会では要項により基準が異なるため、自大会の順位決定方法を要項で明確にしておきましょう。

ポイント

リカバリー策は「事前に用意しておけるもの」ほど効果的です。バッファの位置、繰り上げのルール、順位決定基準、棄権時の扱いを進行表と要項に書いておけば、当日は迷わず判断できます。

タイムテーブルを事前公開するメリット

完成したタイムテーブルは、要項や大会ページで事前に公開することをおすすめします。参加者・運営の双方にメリットがあります。

  • 参加者が出番の目安を把握できる:待ち時間の見通しが立ち、体育館の外で待機したり、ウォーミングアップのタイミングを計れます。
  • 問い合わせが減る:「自分は何時ごろ?」という当日の質問が減り、運営本部が試合進行に集中できます。
  • 遅刻・棄権の抑止:開始時刻が明確だと遅刻が減り、不戦敗や棄権も抑えられます。
  • スタッフの役割分担が明確になる:受付・進行・記録・表彰の担当が、いつ何をするかを共有できます。

公開の際は「時刻はあくまで目安で、進行状況により前後する」ことを必ず明記します。確定した時刻として受け取られると、遅延時に「話が違う」というトラブルにつながりかねません。組み合わせやスコアと同じ画面でタイムテーブルを更新・共有できると、当日の運用がさらにスムーズになります。大会運営の全体像は初めてのバドミントン大会運営マニュアルにチェックリストとしてまとめているので、初めて幹事を担当する方はあわせてご覧ください。

ポイント

スマートスコアなら、大会の作成・申込受付・組み合わせ・タイムテーブル・スコア・結果公開までをWebの管理画面で一括管理でき、進行の更新も参加者に共有しやすくなります。

よくある質問

バドミントンの1試合はどれくらいの時間がかかりますか?

運営実務の目安として、1ゲームの所要時間は「点数×0.75分」で見積もると計画しやすいです。現行の21点制なら約16分となり、種目全体(3ゲームマッチ)の平均は約35〜40分が一つの目安です。3ゲームにもつれると45〜75分程度かかることもあります。これは公式規程の値ではなく運営実務値のため、大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。

1コートで1時間に何試合こなせますか?

コート整列・入替や記録の時間を含めると、1コート1時間あたり2試合程度を想定して計画するのが一般的です。種目や競技レベル、ラリーの長さによって前後するため、余裕を持った見積もりが安全です。

ゲーム間やゲーム中の休憩は何秒ですか?

競技規則上、いずれかが11点に達したときに60秒、各ゲームの間に120秒の休憩(インターバル)が認められています。この休憩時間もタイムテーブルの所要時間に含めて見積もると、実際の進行とのズレが小さくなります。※詳細は年度版の競技規則でご確認ください。

進行が遅れたときはどうリカバリーしますか?

昼休憩や表彰前のバッファ時間を短縮する、空いたコートへ次の試合を前倒しで割り当てる、開会式・アナウンスを簡潔にする、といった方法があります。あらかじめ進行表に調整用の余白時間を組み込んでおくと、遅延を吸収しやすくなります。

タイムテーブルは事前に公開したほうがよいですか?

はい。参加者が自分の出番の目安を把握でき、問い合わせが減り、遅刻や棄権も抑えられます。ただし進行状況で時刻は前後するため、「あくまで目安であること」を明記して公開するのが実務的です。棄権時は競技規則上、直前のスコアを記録して棄権の旨を書き添えます(大会運営規程第26条)。

まとめ

  • タイムテーブルは「使える時間・コート数・こなす試合数」の3つの数字から逆算して組む。
  • 1ゲームの所要時間の目安は実務式「点数×0.75分」(現行21点制で約16分)。種目平均は約35〜40分、フルセットは45〜75分程度。
  • 1コート1時間あたり2試合程度を想定し、こなせる試合数の上限と必要試合数を突き合わせる。
  • 受付・開会式・昼休憩・表彰の時間を先に確保し、遅延を吸収するバッファを組み込む。
  • タイムテーブルは「目安である」と明記して事前公開すると、問い合わせや遅刻・棄権を減らせる。

ここで挙げた所要時間や試合数は運営実務の目安であり、団体戦の形式・順位決定基準・巴戦などの扱いは大会ごとに要項で異なります。必ず自大会の要項と最新の競技規則で最終確認したうえで、余裕を持った進行表づくりを心がけてください。

参考・出典

公益財団法人日本バドミントン協会(競技規則・大会運営規程・公認審判員規程)

※競技規則・各種規程は年度版で改訂されることがあります。記事の内容は2026年7月時点の情報です。実際の大会では必ず最新の競技規則・大会要項をご確認ください。

スマートスコア編集部
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バドミントン大会の運営・スコア集計とサークル活動をサポートするアプリ「スマートスコア」を開発・運営するチーム。大会運営の現場の知見をもとに、正確でわかりやすい情報をお届けします。

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