バドミントン大会の組み合わせ(ドロー)の作り方|シード配置・バイ・同一所属の分離まで解説
バドミントン大会のトーナメント表(ドロー)は、ただ名前を枠に流し込めば完成するものではありません。上位選手が早い段階で潰し合わないためのシード配置、参加数が半端なときのバイ(不戦勝)、そして同じ所属や前年度の対戦相手を分ける配慮など、運営規程に沿った手順があります。
この記事では、大会運営を任された方や審判・レフェリー補助の方に向けて、ドロー作成の基本原則からシード・バイの割り当て方、同一所属の分離、作成手順のまとめ、よくある失敗までを実務目線で解説します。
ドロー作成の基本原則(運営規程)
ドロー(組み合わせ)作成は「くじ引き」の側面がありつつも、無秩序に決めてよいわけではありません。バドミントンの大会運営規程では、組合せはレフェリーの指示の下で厳正に行うこととされています(大会運営規程 第28条レベル)。つまり、担当者が独断で調整するのではなく、責任者であるレフェリーの管理下で公平性を担保するのが原則です。
運営規程には、公平な大会を成立させるためのいくつかの配慮事項が定められています。代表的なものは次のとおりです。
- 組合せの厳正な実施:レフェリーの指示の下で行う(第28条レベル)
- 前年度対戦の回避:前年度同一大会の1回戦で対戦した者同士が、再び1回戦で当たるのを避ける(第30条レベル)
- 同一所属の分散:同一都道府県(所属)からの複数参加は、できる限り等分に分ける(第31条レベル)
- パートナーの分散:ダブルスのパートナー同士がシングルスに出る場合は、原則として等分に分ける(第29条レベル)
これらは「できる限り」「原則として」という表現が多く、参加者数やシード状況によっては完全には満たせないこともあります。優先順位に迷ったら、必ずレフェリーの判断を仰いでください。※条番号・運用は大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
なお、試合形式そのもの(トーナメントかリーグ戦か)をどう選ぶかは、参加数やコート数、開催時間によって変わります。形式選びについては 大会フォーマットの選び方 で詳しく比較しています。
シードとは・配置の実務(対角配置の考え方)
シードとは、実力上位の選手やペアを、序盤で潰し合わないようにドロー上で離して配置する仕組みです。シードを設けないと、たまたま抽選で強豪同士が1回戦に当たり、片方が早期敗退してしまう「事故」が起こります。これを防ぐのがシード配置の目的です。
第1・第2シードは対角に置く
もっとも基本的なルールは、第1シードをドローの最上段、第2シードを最下段に置くことです。両者が順当に勝ち上がると、決勝で初めて対戦することになります。これが「対角配置」の考え方です。
| シード順位 | 配置の目安 | 順当なら対戦するラウンド |
|---|---|---|
| 第1シード | ドロー最上段 | — |
| 第2シード | ドロー最下段 | 決勝で第1シードと |
| 第3・第4シード | それぞれ反対の半分(上半分/下半分に1人ずつ) | 準決勝で第1・第2シードと |
| 第5〜第8シード | 各1/4ブロックに1人ずつ | 準々決勝で上位シードと |
第3・第4シードは、第1・第2シードとは反対の半分に振り分けます。第5〜第8シードは4つの1/4ブロックに1人ずつ入れます。同じシードグループ内(たとえば第5〜8シード)の具体的な入る位置は、抽選で決めるのが一般的です。
「順位が高いシードほど早く当たらない」ように配置するのが原則です。第1シードから見て、決勝>準決勝>準々決勝の順に、格上のシードと当たるタイミングが遅くなるよう配置します。※シード数や配置の細部は大会要項により異なる場合があります。
シードを何人設定するか、そもそもトーナメントにするか予選リーグを挟むかは大会規模で変わります。判断に迷う場合は 大会フォーマットの選び方 もあわせてご覧ください。
バイ(不戦勝)の割り当て方
トーナメント表は、枠の数が2の累乗(8・16・32・64…)だときれいに収まります。しかし実際の参加数がちょうどにならないことがほとんどです。このとき生じる空き枠が「バイ(不戦勝)」で、そこに入った選手は1回戦を戦わずに2回戦へ進みます。
バイは、シード順位の高い側から順に割り当てるのが一般的です。上位選手の負担を軽くすると同時に、序盤の「事故」を減らす意味もあります。
| 参加数 | ブラケット枠 | バイの数 | 割り当て先の考え方 |
|---|---|---|---|
| 13人 | 16枠 | 3 | 上位シード側から3枠に割り当て |
| 20人 | 32枠 | 12 | 上位シード側から順に割り当て |
| 16人 | 16枠 | 0 | 全員が1回戦から対戦 |
バイの数は「ブラケット枠 − 参加数」で求まります。13人なら 16 − 13 = 3 でバイは3つです。これを第1シード側から順に配置していきます。※実際の割り当て手順は大会要項により異なる場合があります。最新の大会要項でご確認ください。
なお、リーグ戦(総当たり)を採用する場合はバイの考え方が異なります。総当たりの総試合数は n×(n-1)÷2 で計算でき、4チームなら6試合、5チームなら10試合、8チームなら28試合です。対戦順を機械的に組むには「循環方式」を使い、1チームを固定して残りを時計回りにローテーションさせると、各ラウンドの組み合わせを漏れなく作れます。試合数が多くなるため、コート数と開催時間との兼ね合いは タイムテーブル作成術 で確認しておくと安全です。
同一所属・前年度対戦への配慮
シードとバイを配置したら、次は「早い段階で当ててはいけない組み合わせ」を分ける作業です。運営規程が求める代表的な配慮は次の3点です。
- 同一所属の分散:同じクラブ・同じ都道府県の選手は、できる限り別ブロックに等分に分ける(第31条レベル)。身内同士が1回戦で当たるのは、本人にとっても観る側にとっても望ましくありません。
- 前年度対戦の回避:前年度の同一大会の1回戦で対戦した者同士が、再び1回戦で当たるのを避ける(第30条レベル)。
- パートナーの分散:ダブルスのパートナー同士がシングルスに出る場合、原則として等分に分ける(第29条レベル)。
これらは「できる限り」「原則として」の配慮であり、シード配置と両立できないケースもあります。優先順位はレフェリーの指示に従い、無理に満たそうとして公平性を崩さないよう注意します。※条番号・運用は大会・年度により異なる場合があります。
また、当日の棄権や失格が出た場合のドローへの影響も押さえておきましょう。大会運営規程では、マッチを棄権した者は同一大会のその後の全種目に出場できず(第19条レベル)、失格者は同一大会の全エントリー種目で失格になる(第21条レベル)とされています。棄権時の記録は直前のスコアを記し、棄権の旨を書き添えます(第26条レベル)。ドローを組む段階でも、これらが起きうることを前提に、記録・進行の運用を決めておくと当日が慌てません。
作成手順のまとめ(手作業とツール)
ここまでの内容を、実際の作成順にまとめます。上から順に進めると、抜け漏れが起きにくくなります。
- 参加者を確定する:エントリーを締め、種目ごとに参加数を数えます。
- ブラケットサイズを決める:参加数以上で最小の2の累乗(8・16・32…)を選びます。
- シードを配置する:第1シードを最上段、第2シードを最下段。3-4は反対の半分、5-8は各1/4へ。
- バイを割り当てる:ブラケット枠 − 参加数の分を、上位シード側から順に配置します。
- 残りを抽選で埋める:シード以外の選手を、同一所属・前年度対戦の配慮をしながら埋めます。
- レフェリーの確認を受ける:組合せはレフェリーの指示の下で最終確認します(第28条レベル)。
参加数が少なく配慮事項が単純であれば、手作業(紙やスプレッドシート)でも作成できます。ただし、シード・バイ・同一所属分離を同時に満たそうとすると、確認漏れやコピーミスが起きやすくなります。
参加数が多い、種目が多い、当日の変更が発生しやすい大会では、ツールの活用が有効です。スマートスコアなら、Webの管理画面から大会の作成・申込受付・組み合わせ・タイムテーブル・スコア管理・結果公開までを一括で行えます。ブラケット生成とタイムテーブルが連動しているため、ドロー変更が進行表に自動で反映され、手戻りを減らせます。
手作業でもツールでも、最終確認はレフェリーの指示の下で行うのが原則です。ツールは作業を速く正確にしますが、規程上の判断まで代行するものではありません。
よくある失敗
最後に、ドロー作成でありがちな失敗を挙げます。事前に知っておくと回避しやすくなります。
- 第2シードを最上段に置いてしまう:第1と第2が準決勝で当たってしまい、決勝が盛り上がりません。対角配置を徹底します。
- バイを下位側に割り当てる:バイは上位シード側から。逆にすると上位選手が1回戦から戦うことになり、シードの意味が薄れます。
- 同一所属を1回戦で当ててしまう:分散の配慮を後回しにすると起きがちです。シード配置と同時に確認します。
- 参加数の数え間違い:ブラケットサイズやバイの数がずれ、後工程がすべて狂います。締切後に必ず再カウントします。
- タイムテーブルと連動していない:ドローを直したのに進行表を更新し忘れると、当日コートが足りなくなります。タイムテーブル作成術 で逆算の考え方を確認しておきましょう。
- 順位決定基準を決めていない:予選リーグを挟む場合、同率時の順位決定基準を要項に明記しておかないと当日もめます。リーグ戦の順位決定方法 を参考にしてください。
失敗の多くは「配慮を後回しにする」ことから生まれます。シード・バイ・同一所属分離は別々ではなく、同じブラケット上で同時に確認するのがコツです。
よくある質問
第1シードと第2シードはどこに置きますか?
第1シードはドローの最上段、第2シードは最下段に置くのが一般的です。両者が勝ち上がると決勝で初めて対戦する「対角配置」になります。3-4シードはそれぞれ反対の半分に、5-8シードは各1/4に配置し、同グループ内での具体的な位置は抽選で決めるのが一般的です。※配置ルールは大会・年度により異なる場合があります。最新の大会要項でご確認ください。
参加数が16人ちょうどでないとき、バイ(不戦勝)はどう割り当てますか?
参加数が8・16・32など2の累乗に満たない分は、シード順位の高い側から順にバイ(1回戦不戦勝)を割り当てるのが一般的です。たとえば13人ならブラケットは16枠となり、不足する3枠分を上位シード側に割り当てます。※割り当ての具体は大会要項により異なる場合があります。
同じ所属(クラブ・都道府県)の選手は組み合わせで分けますか?
大会運営規程では、同一都道府県(所属)からの複数参加はできる限り等分に分けるよう配慮するとされています(競技規則・大会運営規程第31条レベル)。前年度同一大会の1回戦で対戦した者同士が再び1回戦で当たるのを避ける配慮もあります。ただし参加者数やシード状況によっては完全に分けられないこともあり、最終的にはレフェリーの指示の下で判断します。※年度版の規程で最終確認してください。
総当たり(リーグ戦)の試合数はどう計算しますか?
総当たりの総試合数は n×(n-1)÷2 で求められます。4チームなら6試合、5チームなら10試合、8チームなら28試合です。対戦順を決める循環方式では、1チームを固定して残りを時計回りにローテーションさせると、各ラウンドの組み合わせを機械的に作れます。
ドローは手作業とツールのどちらで作るべきですか?
参加数が少なく配慮事項が単純なら手作業でも作れますが、シード・バイ・同一所属分離を同時に満たすには確認漏れが起きやすくなります。スマートスコアのようなツールを使うと、ブラケット生成・タイムテーブル・スコア管理まで一括で行え、ヒューマンエラーを減らせます。いずれの場合も最終確認はレフェリーの指示の下で行ってください。
まとめ
- 組合せはレフェリーの指示の下で厳正に行うのが原則(大会運営規程 第28条レベル)。
- シードは対角配置が基本。第1シードは最上段、第2シードは最下段、3-4は反対の半分、5-8は各1/4へ。
- バイ(不戦勝)は「ブラケット枠 − 参加数」の分を、上位シード側から順に割り当てる。
- 同一所属・前年度対戦・パートナー同士は、できる限り等分に分ける(第29〜31条レベル)。
- 総当たりの試合数は n×(n-1)÷2。循環方式で対戦順を機械的に作れる。
ドロー作成は、公平性への配慮を「同じブラケット上で同時に」確認するのがコツです。参加数や種目が多い大会では、シード・バイ・分散の確認とタイムテーブルへの反映を一括で扱えるツールを使うと、当日のトラブルを大きく減らせます。まずは小さな大会から、手順に沿って作ってみてください。
公益財団法人日本バドミントン協会(競技規則・大会運営規程・公認審判員規程)
※競技規則・各種規程は年度版で改訂されることがあります。記事の内容は2026年7月時点の情報です。実際の大会では必ず最新の競技規則・大会要項をご確認ください。得点方式は現行は21点制(2027年1月4日から15点制へ移行予定)です。