大会での棄権・遅刻・当日欠場の対応|不戦勝処理とリーグ戦での成績の扱い
バドミントンの大会運営では、当日欠場・遅刻・試合途中の棄権はどうしても発生します。「棄権したときスコアはどう書くの?」「不戦勝は誰が繰り上がるの?」「リーグ戦の勝点はどう扱う?」——現場でよく迷うポイントを、大会運営規程の代表例に沿って整理しました。
この記事は、大会の幹事・レフェリー・受付担当の方に向けて、棄権・失格・不戦勝の違い/記録の付け方/トーナメントの繰り上げ/リーグ戦での成績の扱い/受付時間と棄権扱いのルールまでをまとめています。実際の運用は大会ごとに要項で異なるため、判断の「型」として活用してください。
棄権・失格・不戦勝はどう違う?
まず言葉を整理しましょう。似ているようで、記録の付け方も後続への影響も異なります。
| 用語 | 意味(代表例) | 主な場面 |
|---|---|---|
| 棄権(リタイア) | 試合の途中、または開始前に自ら試合を続けない・行わないこと。ケガ・体調不良・都合など | 試合中の負傷、当日欠場 |
| 不戦勝(ウォークオーバー) | 相手が試合を行わないことにより、対戦相手が試合をせずに勝ち上がること | 相手の欠場・棄権 |
| 失格(ディスクォリファイ) | 規程違反・重大な行為違反などにより、審判・レフェリーの判断で試合権を失うこと | 不適切行為、規程違反 |
ざっくり言えば、「棄権」は自分側の事情で試合を離れること、その裏側で相手が受け取るのが「不戦勝」、そして「失格」は運営・審判側の判断で科されるもの、という整理になります。得点ルールは現行では21点制(3ゲーム2ゲーム先取のラリーポイント制/2027年1月4日から15点制へ移行予定)で、棄権時のスコア記録もこの得点ルールに沿って行います。
「棄権」と「失格」では、その後の他種目への影響が変わることがあります(後述)。受付・記録担当は、どちらの扱いなのかをレフェリーと明確にしてから記録しましょう。
※用語の定義や扱いは大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
大会運営規程の代表例(記録・出場制限・失格)
棄権・失格の扱いは、大会運営規程の代表例として次のような定めがあります。運営規程は年度版で改訂されることがあるため、ここでは「競技規則・大会運営規程の代表的な考え方」として押さえてください。
- 棄権時の記録:試合を途中で棄権した場合、直前のスコアを記し、そこに棄権の旨を書き添える(大会運営規程 第26条相当)。
- 棄権後の出場制限:マッチを棄権した者は、同一大会のその後の全種目に出場できない(第19条相当)。
- 失格の範囲:失格者は、同一大会でエントリーしている全種目で失格となる(第21条相当)。
つまり、シングルスとダブルスを掛け持ちしている選手が最初の種目で棄権すると、原則としてその後の種目には出られない、という運用が代表例として存在します。掛け持ちの多い大会では、この扱いを事前に選手へ周知しておくことが重要です。
「棄権=そのマッチだけの問題」ではありません。同一大会内の後続種目に波及し得る点が、実務でもっとも見落とされがちなところです。記録担当は、棄権した選手が他種目にエントリーしていないかを併せて確認しましょう。
スコアシートの具体的な書き方については、ダブルスのスコアシートの書き方もあわせてご覧ください。棄権時にどの欄へ何を書き添えるか、記入例の考え方が参考になります。
※条番号・条文の内容は年度版の大会運営規程で改訂されることがあります。※大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会運営規程でご確認ください。
トーナメントでの繰り上げ・不戦勝処理
トーナメント(勝ち抜き)で当日欠場が出た場合、相手が不戦勝で次へ進むのが基本です。ドローの構造を踏まえた実務を確認しましょう。
不戦勝は「対戦相手が自動的に勝ち上がる」
1回戦で片方が欠場した場合、対戦相手はその試合を行わずに不戦勝となり、2回戦へ進みます。スコアシートには試合開始前の欠場である旨(不戦勝)を明記し、対戦表の該当箇所も不戦勝として処理します。
バイ(不戦勝の枠)と欠場は別物
そもそもトーナメントでは、参加数が2の累乗(8・16・32…)に満たない分を「バイ」として、シード順位の高い側から順に割り当てます。これはドローを組む段階で発生する不戦勝の枠で、当日の欠場による不戦勝とは発生の理由が異なります。
| 種類 | 発生タイミング | 割り当て方(代表例) |
|---|---|---|
| バイ(ドロー上の不戦勝) | 組み合わせ作成時 | 参加数が2の累乗に満たない分を、シード上位側から順に配置 |
| 当日欠場による不戦勝 | 大会当日 | 欠場者の対戦相手が繰り上がって次戦へ |
シード配置は、第1シードをドロー最上段、第2シードを最下段に置き、決勝で当たる対角配置にするのが一般的な実務です。3〜4シードはそれぞれ反対の半分に、5〜8シードは各4分の1に配置し、同グループ内の細かい位置は抽選で決めることが多いです。この構造を理解しておくと、欠場が出たときにどの枠が空くのかを素早く把握できます。
不戦勝で勝ち上がった選手は「試合をしていない」ため、次の試合まで待ち時間が長くなることがあります。進行担当は、不戦勝が確定した時点でタイムテーブルを見直し、コート割りを調整しましょう。
※バイの割り当て順序や配置方法は大会・年度により異なる場合があります。最新の大会要項でご確認ください。
リーグ戦での棄権の扱い(勝点の例)
リーグ戦(総当たり)では、欠場・棄権が順位計算に直接影響します。総当たりの総試合数は n×(n-1)÷2 で、4チームなら6試合、5チームなら10試合、8チームなら28試合です。1チームでも棄権すると、その相手すべての試合結果に関わってきます。
勝点と順位決定の代表例
順位決定の代表例として、バドミントン日本リーグ規定では次の考え方が用いられます。
| 項目 | 扱い(代表例) |
|---|---|
| 勝ち | 勝点 +1 |
| 負け | 勝点 0 |
| 棄権・没収 | 勝点 −1 |
| 順位決定の順序 | 勝点 → 取得マッチ率 → 取得ゲーム率 → 取得ポイント率 |
| 順位決定の特別試合 | 行わない(上記基準で確定) |
ここでのポイントは、棄権が単なる「負け(勝点0)」ではなく、マイナス(−1)として扱われる代表例があることです。棄権を繰り返すと通常の敗戦より不利になる設計になっています。ただし、これはあくまで代表例で、一般の地域大会では「棄権は0点」「不戦勝は与えられたゲームを○-○として計上」など、要項によって基準が大きく異なります。
同率で並んだときの順位決定は大会の要項が最優先です。マッチ率・ゲーム率・ポイント率のどこまで見るかは要項で異なるため、リーグ戦の順位決定方法で計算の考え方を確認しておくと、当日の判断がスムーズになります。
※勝点・順位決定基準は大会・年度により異なる場合があります。一般大会では必ず出場する大会の要項でご確認ください。
受付時間・招集と棄権扱いのルール
「遅刻=即棄権」とは限りませんが、多くの大会は受付・招集の時刻を過ぎた場合の扱いを要項で定めています。運営側は、あらかじめ基準を明確にしておくことでトラブルを防げます。
- 受付締切:受付時間までに来場・確認がない場合の扱い(棄権とみなす/個別連絡を待つ等)を要項に明記する。
- 招集・呼び出し:コートへの呼び出しから一定時間経過しても現れない場合に不戦敗とする、という運用が一般的。
- 猶予時間:呼び出しから何分待つか等の基準は大会ごとに異なる。
進行の目安を持っておくと、遅刻者への対応の可否を判断しやすくなります。実務では「点数×0.75分」が1ゲームの目安(21点なら約16分)とされ、1コート1時間あたり2試合程度を想定するのが一般的です。種目別の平均試合時間は約35〜40分(3ゲームにもつれると45〜75分)が目安です。なお、これらは公式規程の数値ではなく運営実務上の目安である点に注意してください。
| 局面 | 時間の目安(運営実務値) |
|---|---|
| 1ゲーム | 点数×0.75分(21点なら約16分) |
| 1試合(種目別平均) | 約35〜40分(3ゲームなら45〜75分) |
| 11点到達時のインターバル | 60秒 |
| ゲーム間インターバル | 120秒 |
| 1コートの回転 | 1時間あたり2試合程度 |
遅刻連絡が入った場合、後続の試合順を入れ替えて数試合ぶんの猶予を作れることがあります。「棄権にするか待つか」は、進行の遅延と公平性のバランスで、レフェリーの判断のもとに決めましょう。
※受付・招集の基準時刻や猶予時間、試合時間はいずれも大会・年度により異なる場合があります。最新の大会要項でご確認ください。
運営側の備え(要項明記・連絡網)
棄権・欠場は「起きる前提」で準備しておくと、当日の混乱を大きく減らせます。運営側が事前に整えておきたい項目を挙げます。
- 要項への明記:棄権時のスコア記録、棄権後の他種目出場制限、失格の範囲、遅刻・欠場時の扱い、リーグ戦の勝点と順位決定基準を、あらかじめ要項に書いておく。
- 連絡網の整備:当日欠場・遅刻の連絡先(受付・進行担当)を要項や案内に記載し、選手が事前連絡しやすい導線を作る。
- 記録の統一:スコアシートに「不戦勝」「棄権(直前スコア+旨を記載)」「失格」をどう書くか、記録担当で書式を統一する。
- ドローの空き把握:欠場が出たときにどの枠が不戦勝になるか、シード・バイの構造を進行担当が把握しておく。
- タイムテーブルの余白:不戦勝で待ち時間が延びた選手や、遅刻者の入れ替えに対応できるよう、進行に余白を持たせる。
大会運営全体の流れについては、初めてのバドミントン大会運営マニュアルで準備から精算までをチェックリスト化しています。棄権対応は当日進行の一部として、全体像の中で位置づけておくと安心です。
スマートスコアなら、組み合わせ・タイムテーブル・スコア管理をWeb上で一元管理できます。欠場や不戦勝が出ても、対戦表と進行を素早く更新しやすくなります。
※運営規程・要項の内容は大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
よくある質問
棄権したときのスコアはどう記録しますか?
大会運営規程の代表例では、試合の途中で棄権した場合、棄権した時点の直前のスコアをそのまま記し、そこに棄権である旨を書き添えます(第26条相当)。0からやり直したり無効にしたりするのではなく「どこまで進んでいたか」を残すのが基本です。試合開始前の欠場は不戦勝(ウォークオーバー)として処理します。※大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
1種目を棄権すると他の種目にも出られなくなりますか?
大会運営規程の代表例では、マッチを棄権した者は同一大会のその後の全種目に出場できないと定められています(第19条相当)。さらに失格となった場合は、その大会でエントリーしている全種目で失格扱いになります(第21条相当)。ダブルスとシングルスの掛け持ちなどをしている場合は影響が大きいため、要項の該当条項を必ず確認してください。※大会ごとに扱いが異なる場合があります。
リーグ戦で棄権すると勝点はどうなりますか?
代表例(バドミントン日本リーグ規定)では、勝ちを勝点1・負けを0とし、棄権や没収の場合は勝点をマイナス1とする扱いがあります。順位は勝点→取得マッチ率→取得ゲーム率→取得ポイント率の順で決めるのが一般的な代表例です。ただし一般大会では要項によって勝点や順位決定基準が異なるため、必ず出場する大会の要項でご確認ください。
遅刻した場合は棄権扱いになりますか?
多くの大会では、受付時間・招集時間を過ぎてコートに現れない場合や、呼び出しから一定時間経過しても試合を開始できない場合に不戦敗(棄権扱い)とすることを要項で定めています。基準時刻や猶予時間は大会ごとに異なるため、要項の受付・招集に関する記載を必ず事前に確認しましょう。※大会・年度により異なる場合があります。
現在のバドミントンの得点ルールは何点制ですか?
現行は21点制(3ゲーム2ゲーム先取、ラリーポイント制)で、2027年1月4日から15点制へ移行予定です。棄権のスコア記録はこの得点ルールに沿って「直前のスコア」を残すことになります。移行前後で運営書式の数値が変わる可能性があるため、大会当日は最新の競技規則と要項でご確認ください。
まとめ
- 棄権時は「直前のスコア+棄権の旨」を記録するのが代表例(第26条相当)。開始前の欠場は不戦勝で処理する。
- 棄権した者は同一大会のその後の全種目に出られない、失格者は全エントリー種目で失格、という代表例がある(第19条・第21条相当)。
- トーナメントでは欠場者の相手が不戦勝で繰り上がる。ドロー作成時のバイ(シード上位側から割り当て)とは別物。
- リーグ戦の代表例では棄権・没収を勝点−1とし、勝点→マッチ率→ゲーム率→ポイント率で順位を決める。ただし一般大会は要項で異なる。
- 受付・招集の締切、猶予時間、遅刻時の扱いは大会ごとに要項で定める。運営側は要項明記・連絡網・記録書式を事前に整えておく。
棄権・遅刻・欠場は「起きる前提」で準備しておくのが、公平でスムーズな大会運営の近道です。判断に迷ったら、必ず最新の競技規則・大会運営規程・その大会の要項に立ち返って確認しましょう。
公益財団法人日本バドミントン協会(競技規則・大会運営規程・公認審判員規程)
※競技規則・各種規程は年度版で改訂されることがあります。記事の内容は2026年7月時点の情報です。実際の大会では必ず最新の競技規則・大会要項をご確認ください。