バドミントンの「レット」とは?やり直しになる7つのケースとフォルトとの違い
「今のはレット?それともフォルト?」——試合中に迷いやすいのが、プレーをやり直す「レット」の判断です。この記事では、バドミントンでレットになる代表的な7つのケースと、レット後の処理(得点は動かず、直前のサーバーが打ち直す)をわかりやすく整理します。
とくに混同されやすい「シャトルがネットに挟まったとき」の判定——サービス時はフォルト、ラリー中はレットという分岐まで、初心者から草大会でセルフジャッジをする方まで役立つ内容です。
レットとは?得点が動かない「やり直し」
バドミントンにおけるレット(let)とは、あるラリーを無効とし、そのラリーをやり直すことをいいます。ポイントとして最も大切なのは、レットではスコア(得点)が動かないという点です。どちらかに1点が入るのではなく、「今のラリーはなかったことにして、もう一度やり直す」ための仕組みだと考えるとわかりやすいでしょう。
公式試合では主審が「レット」と宣告し、直前にサービスを打ったサーバーが同じサービスコートから打ち直します。持ち点も変わりませんし、サービス権が移ることもありません。つまりレットは、公平にプレーを続けるための「仕切り直し」の役割を持っています。
レット=プレーのやり直し。得点は動かず、サービス権も移らず、直前のサーバーが同じコートから打ち直す——ここがフォルト(どちらかの失点)との決定的な違いです。
点数の数え方やサービスの基本を先に押さえたい方は、バドミントンのルールと点数の数え方もあわせてご覧ください。レットとフォルトの理解がぐっと深まります。
レットになる代表的な7つのケース
どんなときにレット(やり直し)になるのか、代表的なケースを7つに整理しました。実際の判断は主審や状況によりますが、まずは「こういうときはやり直しになりやすい」という感覚をつかんでおきましょう。
| No. | ケース | ざっくり言うと |
|---|---|---|
| 1 | レシーバーの体勢が整う前のサービス | 受け手の準備前に打った |
| 2 | サービス時に両者が同時にフォルト | サーバー・レシーバー双方に反則 |
| 3 | 返球後にシャトルがネット上に乗る・ひっかかる | ラリー中のネット挟まり |
| 4 | シャトルの台(コルク)が完全に分離した | プレー中に用具が壊れた |
| 5 | コーチによる中断・注意そらし | プレーに影響する外的要因 |
| 6 | 線審が判定できず、主審も判断できない | イン・アウトが確定できない |
| 7 | 予期できない不測の事態が起きた | その他プレー続行が困難な状況 |
1つめの「レシーバーの体勢が整う前のサービス」は、受け手が構えていないうちに打ってしまったケースです。2つめの「両者同時フォルト」は、サーバーとレシーバーが同時に反則をしてしまい、どちらを取るか決められない場合です。
3つめのラリー中のネット挟まりは、後述の「サービス時=フォルト」との違いがとても重要なので、ネット挟まりの判定分岐で詳しく解説します。4つめは、打った拍子にシャトルのコルク部分(台)が羽根から完全に外れてしまったケースです。5〜7は、コーチの声かけや線審が見えなかったときなど、プレーを公平に続けられない外的な要因を指します。
レットの多くは「公平に判断できない」「プレーを続けられない」状況です。迷ったら失点にするのではなく、やり直す——これがレットの基本的な考え方です。
※レットの適用範囲は大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
レット後の処理|直前のサーバーが打ち直す
レットが宣告されたら、処理はとてもシンプルです。直前にサービスを打ったサーバーが、そのままのスコア・そのままのサービスコートから、もう一度サービスを打ち直します。ラリー自体がなかったことになるので、得点もサービス権も変わりません。
ここで確認しておきたいのが、そもそもどちらのコートからサーブを打つのかというサービスコートの決まりです。サービスコートは、自分(自チーム)のスコアによって左右が決まります。
| 自分側のスコア | サービスコート |
|---|---|
| 0または偶数 | 右 |
| 奇数 | 左 |
これは単複(シングルス・ダブルス)共通です。ダブルスでは、サーバーと斜めに向き合う相手がレシーバーになります。また、左右のコートを替えるのは自分のサイドがサービスで得点したときだけです。レットではスコアが動かないので、当然サービスコートも替わらず、直前と同じ位置から打ち直すことになります。
サービスコートは「自分のスコアが偶数なら右、奇数なら左」。レットは得点が動かないので、直前と同じコートから、同じサーバーが打ち直すと覚えておけば迷いません。
もしサービスの順番やコートを間違えた場合(サービスコートの誤り)は、気づいた時点で直ちに訂正します。スコアはそのままで、さかのぼって取り消すことはしません。
※サービスコートの誤りの取り扱いは大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
レットとフォルトはどう違う?
初心者が最も混同しやすいのが、この「レット」と「フォルト」の違いです。ひと言でいえば、レットはやり直し(得点なし)、フォルトは反則(相手の得点)です。結果がまったく違うので、しっかり区別しておきましょう。
| 項目 | レット | フォルト |
|---|---|---|
| 意味 | プレーのやり直し | 反則 |
| 得点 | 動かない | 相手に1点入る |
| サービス権 | 変わらない | 移ることがある |
| 次のプレー | 直前のサーバーが打ち直す | 相手がサービスして再開 |
フォルトには、サービス時のフォルト(打つ瞬間にシャトル全体がコート面から1.15mを超える高さにある、ラケットのシャフトが下向きでない、両足の一部が接地していないフットフォルトなど)、ラリー中のフォルト(境界線の外に落ちる、天井や壁に触れる、身体や着衣に当たるボディタッチ、ホールディング、2度打ちなど)、動作のフォルト(ネットタッチ、オーバーネット、相手の妨害など)があります。
なお、2025年5月1日施行の改訂で、シャトルに回転を加えて放すスピンサーブは全面的に禁止されました。サービス周りのフォルトは変更が入ることがあるので、最新情報を確認しておくと安心です。
フォルトの全パターンを区分ごとに知りたい方は、バドミントンのフォルト(反則)一覧で詳しく整理しています。レットと合わせて読むと、判定の基準がクリアになります。
※サービスの高さ基準や各フォルトの取り扱いは大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
ネット挟まりの判定分岐|サービス時=フォルト/ラリー中=レット
シャトルがネットに乗ったり、越えた後にひっかかったりしたとき——これは「いつ起きたか」で判定が真逆に変わる、最も間違えやすいポイントです。
| タイミング | 判定 | 結果 |
|---|---|---|
| サービス(サーブ)時 | フォルト | サーバー側の失点 |
| ラリー中(返球後) | レット | やり直し(得点なし) |
つまり、サーブがネット上に乗る・越えた後にひっかかるのはフォルトで、サーバー側の失点になります。一方、サービスが有効に返球された後のラリー中に返球がネット上に乗る・ひっかかったらレットとなり、やり直しです。同じ「ネット挟まり」でも、サーブか通常のラリーかで扱いがまったく違うわけです。
覚え方は「サーブで挟まったら負け(フォルト)、ラリーで挟まったらやり直し(レット)」。この一線を押さえておけば、迷いがぐっと減ります。
※判定の細部は大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
隣のコートからシャトルが入ってきたら
体育館で複数コートを使っていると、隣のコートからシャトルが自分たちのコートに飛び込んでくることがあります。プレーの妨げになった場合、公式試合では主審が不測の事態としてレットを宣告し、やり直しになることがあります。
一方、主審のいない草大会や練習試合では、明文の規則というより慣行(お互いの合意)として運用されます。妨げになったと感じたら「レット」と声をかけ、そのラリーを打ち直すのが一般的です。セルフジャッジでは、こうした一声のコミュニケーションがトラブル回避のカギになります。
草大会・練習では「妨げになった=迷ったらレット」で仕切り直すのが円満。プレー前に運営やメンバーで扱いをすり合わせておくと、当日もめずに進行できます。
セルフジャッジ全般の基本原則やマナーについては、セルフジャッジのやり方とマナーで詳しくまとめています。主審なしの試合で気持ちよくプレーするために、ぜひ目を通してみてください。
※隣コートからの侵入時の取り扱いは大会・年度・会場により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
よくある質問
レットになると得点はどうなりますか?
レットは「そのラリーを無効にしてやり直す」ものなので、スコアは動きません。直前にサービスを打ったサーバーが、そのままの持ち点・そのままのサービスコートから打ち直します。どちらかに1点が入るフォルトとはこの点で大きく異なります。
シャトルがネットに挟まったら、いつもレットですか?
いいえ、状況によって変わります。サービス(サーブ)のときにシャトルがネットに乗る・越えた後にひっかかるのはフォルトで、サーバー側の失点になります。一方、ラリー中(サービスが有効に返球された後)に返球がネット上に乗ったりひっかかったりした場合はレットとなり、やり直しになります。
隣のコートからシャトルが飛び込んできたらレットにできますか?
主審のいる公式試合では、プレーの妨げになる不測の事態として主審がレットを宣告することがあります。セルフジャッジの草大会や練習では、明文の規則というより慣行として、妨げになったと感じたら「レット」と声をかけてやり直すのが一般的です。運用は大会・年度により異なる場合がありますので、迷ったら大会要項や運営に確認してください。
レシーバーの準備ができる前にサーブを打つとどうなりますか?
レシーバーの体勢が整う前にサービスを打った場合はレットとなり、やり直しになります。ただしレシーバーが構えていたのに返球を試みなかった場合は「準備ができていた」とみなされることがあります。判断は状況によるため、セルフジャッジではお互いに一声かけ合うとトラブルを防げます。
サービスコートを間違えて打ってしまったら、点はどうなりますか?
サービスの順番違いやコート違い(サービスコートの誤り)に気づいたら、直ちに訂正します。スコアはそのままで、さかのぼって取り消したりはしません。詳しい取り扱いは大会・年度により異なる場合がありますので、最新の競技規則や大会要項でご確認ください。
まとめ
- レットは「プレーのやり直し」。得点は動かず、サービス権も移らず、直前のサーバーが同じコートから打ち直します。
- レットになる代表的なケースは、準備前のサービス・両者同時フォルト・ラリー中のネット挟まり・コルク分離・コーチの中断・線審が判定不能・不測の事態の7つです。
- フォルトは「反則」で相手の得点になる点が、レット(得点なし)との決定的な違いです。
- ネット挟まりはサービス時=フォルト、ラリー中=レット。「いつ起きたか」で判定が逆になります。
- 隣コートからの侵入は、公式試合ではレット宣告、草大会・練習では慣行としてやり直すのが一般的です。
レットとフォルトの違いを押さえておけば、試合中の判断で迷うことが減り、セルフジャッジでもスムーズに進行できます。細かい取り扱いは大会・年度により異なることがあるため、実際の大会では必ず最新の競技規則・大会要項をご確認ください。
公益財団法人日本バドミントン協会(競技規則・大会運営規程・公認審判員規程)
※競技規則・各種規程は年度版で改訂されることがあります。記事の内容は2026年7月時点の情報です。実際の大会では必ず最新の競技規則・大会要項をご確認ください。