バドミントン線審のやり方とジェスチャー|イン・アウト・見えなかった時の正しい合図
大会で「次の試合、線審お願いします」と言われて戸惑った経験はありませんか。この記事は、はじめて線審を担当する方や、敗者審判で線審を頼まれる可能性がある方に向けたガイドです。
線審の役割と配置、3つのジェスチャー(イン・アウト・判定不能)、正確に判定するためのコツ、そして「見えなかった」ときの正しい対応までを、順を追って解説します。読み終えるころには、自信を持ってラインに座れるようになります。
線審の役割と配置
線審(ラインジャッジ)は、担当するラインについて、シャトルが「イン(線内)」か「アウト(線外)」かを判定する審判員です。主審(アンパイア)が試合全体の進行とスコアを管理するのに対し、線審は自分の担当ライン一本に関する事実だけを見極め、決められたジェスチャーで主審に伝えます。
正式な大会では複数の線審がコートを囲むように配置され、それぞれがサイドライン・バックバウンダリーライン(後方の外側ライン)などを分担します。線審は担当ラインの延長線上に座り、そのラインとシャトルの落下点の位置関係が正面から見える位置に椅子を置きます。
線審が判定するのは「担当ラインのイン・アウト」だけです。ラリーの内容やスコア、他のラインについての判断は行いません。役割を一本のラインに絞ることが、正確でブレない判定につながります。
大会の規模によっては、すべてのラインに線審を配置できないこともあります。その場合、線審のいないラインは主審が自分で判断します。逆に、公式度の高い大会ではラインごとに専任の線審が座り、主審・サービスジャッジと合わせてコートを複数人でカバーします。人数や配置が変わっても、一人ひとりの線審が「担当ライン一本を見る」という役割の本質は変わりません。
線審の判定は、主審が得点を確定するための重要な材料になります。線審が伝えたイン・アウトの合図を受けて、主審が最終的にそのラリーの結果を判断します。つまり線審は、主審が正しく試合を進めるための「目」の役割を担っているといえます。試合を進行する主審のコールの流れについては、バドミントン主審のやり方・コール完全ガイドで詳しく解説しています。あわせて読むと、線審と主審の役割分担がよりクリアになります。
※配置の詳細や配置人数は、大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
3つのジェスチャー(イン・アウト・判定不能)
線審の合図は、声と動作の組み合わせがそれぞれ明確に決まっています。覚えるべきは次の3つだけです。動作を体で覚えておけば、とっさの場面でも迷いません。
| 判定 | 声(コール) | 動作 |
|---|---|---|
| アウト(線外に落ちた) | 「アウト」と明確にコール | 両腕を水平に真横へ広げる |
| イン(線内・線上に落ちた) | 無言(声は出さない) | 右手を伸ばして担当ラインを指し示す |
| 見えなかった(判定不能) | 無言 | 両手で自分の目を覆う |
アウトのときは、周囲に聞こえるよう「アウト」とはっきり声を出し、同時に両腕を水平に広げます。声と動作をセットにすることで、主審や選手に明確に伝わります。
インのときは声を出しません。無言のまま、右手を前に伸ばして自分が担当するラインを指し示します。バドミントンではラインに触れた(線上に落ちた)シャトルはインとして扱われるため、線に少しでもかかっていればこの合図になります。
見えなかったときは、両手で自分の目を覆うジェスチャーをして、判定できなかったことを主審に伝えます。当て推量で判定してはいけません。「見えなかった」ことを正直に示すのも、線審の大切な役目です。選手の体や他の選手にシャトルが隠れて落下点が確認できない場面は実際によく起こるため、この合図は決して恥ずかしいものではありません。
いずれのジェスチャーも、主審や選手から見える大きさで、はっきりと動作することが大切です。小さく曖昧な合図は伝わりにくく、判定を待つ選手を混乱させてしまいます。合図は判定した直後にためらわず出すことを心がけましょう。
声を出すのは「アウト」のときだけです。イン(右手でライン指示)と判定不能(両手で目を覆う)はどちらも無言なので、動作をしっかり区別できるようにしておきましょう。
正確に判定するためのコツ
線審の判定精度は、見る位置と集中の仕方でほぼ決まります。難しいテクニックは必要なく、基本を守ることが何より大切です。
- ラインの延長線上で見る:自分の担当ラインの真っすぐ延長した線上に目線を置きます。斜めから見るとシャトルとラインの前後関係がつかみにくくなり、イン・アウトの判断がぶれます。
- 落下点に集中する:ラリー中の空中のシャトルを目で追い続けるのではなく、シャトルが落ちる瞬間の「床とラインの位置関係」に意識を集中させます。判定はシャトルが床に触れた地点で決まります。
- 担当ライン以外は見ない:他のラインや反対側のコートは気にしません。判断材料を絞ることで、迷いが減り反応も速くなります。
- 即座に合図する:判定はためらわず、シャトルが落ちた直後に合図します。合図が遅れると、選手や主審が判定を待って混乱することがあります。
「ラインの延長線上に座り、落下点だけを見る」——この2点を守るだけで、判定は格段に安定します。空中のシャトルを目で追いすぎないことがコツです。
迷ったときの基本姿勢は、審判なしのセルフジャッジにも通じます。自陣・自ライン優先の考え方についてはセルフジャッジのやり方とマナーもあわせて参考にしてください。
判定できなかった場合の処理
シャトルの落下点が選手の体で隠れたり、一瞬目を離したりして判定できないことは実際に起こります。そのときに無理をしないことが、正しい線審の対応です。
判定できなかった場合は、両手で目を覆うジェスチャーで「見えなかった」ことを主審に伝えます。すると、その判断は主審に委ねられます。処理の流れは次のとおりです。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 線審が判定できた | イン・アウトの合図を主審に伝え、主審が得点を確定する |
| 線審が判定できなかった(目を覆う合図) | 主審が自分の判断で決められる場合は主審が判定する |
| 線審も主審も確認できない | そのラリーはやり直し(レット)になる |
ここで大切なのは、線審が「見えなかった」ことを隠したり、当て推量で判定したりしないことです。見えなかったことを正直に示せば、主審が適切に処理してくれます。無理な判定でトラブルになるより、正直な合図のほうがずっと信頼されます。
見えなかったら「両手で目を覆う」。これで判断は主審に移り、主審も確認できなければレット(やり直し)になります。分からないことを正直に伝えるのが最善の対応です。
※判定できなかった場合の処理の細部は、大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
敗者審判で線審を頼まれたら
市民大会やサークルの大会では、試合に負けた選手が次の試合の審判を務める「敗者審判」がよく行われます。主審だけでなく線審を頼まれることもあるので、基本を押さえておけば安心です。
- 担当ラインを確認する:まず主審に、自分がどのラインを見るのかを確認します。サイドラインなのか後方のラインなのかで、座る位置が変わります。
- 正面に見える位置に座る:担当ラインの延長線上で、ラインとコートが正面によく見える位置に椅子を置きます。
- 3つの合図を思い出す:アウト=「アウト」とコール+両腕水平、イン=無言で右手でライン指示、見えなかった=両手で目を覆う。この3つだけ覚えておけば対応できます。
- 担当ラインだけを見る:ほかのラインや得点は気にせず、自分のラインのイン・アウトに集中します。
敗者審判はチームや大会運営を支える大切な役割です。試合の進行そのものを担う主審のコール手順は主審のやり方・コール完全ガイドで、サービスの反則を見るサービスジャッジの役割はサービスジャッジの役割とやり方で解説しています。役割ごとに読んでおくと、どの審判を頼まれても落ち着いて対応できます。
敗者審判で線審を頼まれたら、「担当ライン確認 → 正面に座る → 3つの合図」の順で準備すればOKです。判定は担当ライン一本に絞り、それ以外には関与しません。
※敗者審判の運用や審判の割り当ては大会ごとに異なります。これは代表的な例で、実際の運用は各大会の要項によって変わります。2026年7月時点の一般的な運用をもとに記載しています。
よくある質問
線審はイン・アウトを声に出してコールしますか?
アウトのときだけ「アウト」と大きくコールし、同時に両腕を水平に広げます。インのときは声を出さず、無言で右手を伸ばして担当ラインを指し示します。イン・アウトで動作が明確に分かれているので、迷わないよう覚えておきましょう。
シャトルの落下点が見えなかったときはどうすればいいですか?
両手で自分の目を覆うジェスチャーをして、判定できなかったことを主審に伝えます。無理に当て推量で判定してはいけません。主審も確認できない場合は、そのラリーはやり直し(レット)になります。見えなかったことを正直に伝えるのが線審の正しい対応です。
線審はどこを見ていればいいですか?
自分が担当するラインの延長線上に目線を置き、ラインとシャトルの落下点の位置関係だけに集中します。ラリーの展開やスコアは追わず、シャトルが自分の担当ラインの内か外かだけを見極めることが役割です。
敗者審判で線審を頼まれたら何を準備すればいいですか?
担当するラインを主審に確認し、そのラインが正面によく見える位置の椅子に座ります。あとは3つのジェスチャー(アウト=コール+両腕水平、イン=無言で右手でライン指示、見えなかった=両手で目を覆う)を覚えておけば対応できます。判定は担当ラインについてのみ行い、それ以外のラインには関与しません。
線審の判定と主審の判断が違うことはありますか?
最終的な試合の進行を判断するのは主審です。線審は担当ラインの事実(イン・アウト・判定不能)を合図で伝える役割で、その報告をもとに主審が得点を確定します。線審が判定できなかった場合は、主審が自分で判断するか、主審も確認できなければレットになります。
まとめ
- 線審は担当ライン一本の「イン・アウト」を判定し、決められたジェスチャーで主審に伝える役割です。
- 合図は3つ。アウト=「アウト」とコール+両腕水平、イン=無言で右手でライン指示、見えなかった=両手で目を覆う。
- 正確な判定のコツは「ラインの延長線上に座る」「落下点だけに集中する」の2点です。
- 判定できなかったら目を覆う合図を出し、判断を主審に委ねます。主審も確認できなければレット(やり直し)です。
- 敗者審判で頼まれたら、担当ライン確認 → 正面に座る → 3つの合図、の順で準備すれば落ち着いて対応できます。
線審は難しそうに見えて、覚えることは3つの合図と基本姿勢だけです。役割を一本のラインに絞り、正直に合図することを意識すれば、はじめてでもしっかり務まります。次に線審を頼まれたときは、自信を持ってラインに座ってください。
公益財団法人日本バドミントン協会(競技規則・大会運営規程・公認審判員規程)
※競技規則・各種規程は年度版で改訂されることがあります。記事の内容は2026年7月時点の情報です。実際の大会では必ず最新の競技規則・大会要項をご確認ください。