バドミントン主審のやり方・コール完全ガイド|「ラブオール、プレー」から試合終了まで
大会や練習試合で「主審をやってほしい」と頼まれたものの、何をどの順番でコールすればいいのか分からない——そんな方に向けたガイドです。この記事では、試合前のトスからスコアコール、インターバル、チェンジエンズ、そして試合終了まで、主審の進行を時系列でまとめました。
初めて主審を担当する初心者の方が、当日の流れをイメージしながら落ち着いて進められるよう、基本のコール(「ラブオール、プレー」「サービスオーバー」など)と押さえどころを具体的に解説します。
主審の役割とコートでの立ち位置
主審(アンパイア)は、コート上の試合を進行し、勝敗を確定させる責任者です。スコアのコール、サービスオーバーの宣告、フォルトの判定、インターバルの管理などを担い、選手が競技に集中できるよう試合をコントロールします。主審は通常、ネットの一方の端に置かれた審判台(高い椅子)に座って進行します。
主審のほかに、大会の規模によっては次のような補助役が付きます。役割を知っておくと、自分がどこまで判定するのかが整理できます。
| 役割 | おもな仕事 | 位置の目安 |
|---|---|---|
| 主審 | 試合進行・スコアコール・最終判定 | ネット端の審判台 |
| サービスジャッジ | サービス動作の反則を判定し「フォルト」とコール | 主審の反対側・ネットポスト近くの低い椅子 |
| 線審(ラインジャッジ) | 担当ラインのイン・アウトを判定 | 各ラインの延長上 |
サービスジャッジは、競技規則第9条にあたるサービス違反を判定します。判定対象は、足の位置や接地の状態、シャトルを打つ高さ(1.15m)、ラケットの動きの連続性などです。違反があれば「フォルト」とコールします。
線審の合図については、バドミントン線審のやり方とジェスチャーで詳しく解説しています。主審が線審の判定をどう受けて進行するかを知るうえでも役立ちます。
主審はコート全体の進行役です。判定に迷ったときは、線審やサービスジャッジの判定を尊重しつつ、最終的な進行判断を主審が行います。※役割配置は大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
試合前の流れ|トスと選択権
試合はトスから始まります。競技規則第6条にあたるトスでは、シャトルやコインなどを使って両者のどちらが先に選ぶかを決めます。トスに勝った側は、次の2つのうち一方を選ぶ権利を得ます。
- 最初に「サービス」または「レシーブ」をする(=サービス/レシーブの選択)
- どちらのエンド(コート側)から始めるかを選ぶ(=エンドの選択)
トスに勝った側が上記の一方を選んだら、残った項目を負けた側が選びます。たとえば勝者が「サービス」を選んだ場合、敗者はエンドを選べる、という流れです。
| ケース | トス勝者の選択 | トス敗者の選択 |
|---|---|---|
| 例1 | サービスを選ぶ | エンドを選ぶ |
| 例2 | レシーブを選ぶ | エンドを選ぶ |
| 例3 | エンドを選ぶ | サービス/レシーブを選ぶ |
主審はトスの結果と選択を確認し、選手を正しいエンドとサービス位置に案内します。トスの内容は、後でスコアシートに記録する場面もあります。ダブルスのスコアシートの書き方はバドミントンのスコアシートの書き方【ダブルス編】で解説しています。
試合開始コール「ラブオール、プレー」
選手の準備が整ったら、主審は試合開始を宣言します。ここで登場する有名なコールが「ラブオール、プレー」です。
- ラブオール=スコアが0対0であることを表します(「ラブ」は0の意味)。
- プレー=マッチの開始、あるいは各ゲームの開始を宣言する合図です。
ここで重要なのは、「プレー」というコールを使う場面が限られていることです。「プレー」はマッチの開始時とインターバル後の再開時のみに用います。ラリーが続く通常の場面では、スコアだけをコールします。
ダブルスやシングルスにかかわらず、最初のコールは「ラブオール、プレー」です。これから試合が始まる、という区切りを選手と観客に明確に伝える大切なコールです。
なお、現行のスコア方式は21点3ゲーム制です。※得点ルールは、現行は21点制(2027年1月4日から15点制へ移行予定)です。移行の時期や適用範囲は大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
ラリー中のコール|スコアはサーバー側から
ラリーが終わって得点が入るたびに、主審はスコアをコールします。ここで押さえるべき大原則が「スコアは常にサーバー(サービス側)を先に読む」ことです。
- サービス側が得点したときは、そのままサーバー側のスコアを先に読みます(サーブ側の得点は「ポイント」と表現されます)。
- サービス権が相手側に移ったときは、まず「サービスオーバー」とコールし、続けて新しいサーバー側のスコアから読み直します。
- 両者のスコアが同点のときは「◯オール」とコールします(例:5対5なら「ファイブオール」)。
言葉だけだと分かりにくいので、シングルスでのコール例を並べてみます(あくまでコールの読み方の例です)。
| 状況 | スコア(サーバー側-レシーバー側) | コール例 |
|---|---|---|
| 試合開始 | 0-0 | ラブオール、プレー |
| サーバーが得点 | 1-0 | ワン、ラブ |
| レシーバーが得点しサーブ権移動 | 1-1(読み直し) | サービスオーバー、ワンオール |
| 新サーバーが得点 | 2-1 | ツー、ワン |
数字の読み方(英語コール)は大会や地域の慣習により差があることもあります。まずは「サーバー側を先に読む」「サービス権が移ったらサービスオーバー」という2つの原則を体に入れておけば、細かな読み方は落ち着いて対応できます。
迷いやすいのは「どちらがサーバーか」を見失ったときです。スコアシートにサーバー(S)とレシーバー(R)を記録しておくと、追いやすくなります。ダブルスの記入方法はスコアシートの書き方【ダブルス編】を参照してください。
インターバルとチェンジエンズ
ゲームの途中とゲームの間には、それぞれ決められたインターバル(休憩)とチェンジエンズ(エンド交代)があります。主審はこのタイミングを管理し、時間を告げるのも役割です。
11点インターバルとゲーム間インターバル
一方の得点が11点に達したら、主審は「(スコア)、インターバル」とコールし、60秒のインターバルを取ります。残り20秒になったら「20秒」を2回コールし、再開時は「(スコア)、プレー」とコールします。
ゲームとゲームの間のインターバルは120秒(2分)です。こちらも残り時間の管理を主審が行います。
| 場面 | インターバル | コールの流れ |
|---|---|---|
| ゲーム中に一方が11点 | 60秒 | 「(スコア)、インターバル」→残り20秒で「20秒」×2→「(スコア)、プレー」 |
| ゲームとゲームの間 | 120秒(2分) | 次ゲーム開始時に「(スコア)、プレー」 |
チェンジエンズのタイミング
チェンジエンズは、選手が使うコート側を入れ替える手続きです。代表的なタイミングは次のとおりです。
- 第1ゲームが終了したとき
- 第2ゲームが終了したとき(第3ゲームがある場合)
- 第3ゲームで、どちらかが11点に達したとき
第3ゲームの11点は「インターバルを取る点」であると同時に「チェンジエンズを行う点」でもあります。主審はエンド交代を促し、交代後に正しいエンドで再開できるよう案内します。※インターバルの秒数やチェンジエンズの運用は大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
ゲームポイント・マッチポイント・試合終了
試合の終盤では、勝敗が近づいたことを主審がコールで知らせます。ここで使うのが「ゲームポイント」「マッチポイント」です。
- ゲームポイント:あと1点でそのゲームが決まるとき、スコアに添えてコールします。20点に達したときが目安です(例:「トゥエンティ、ゲームポイント」)。
- マッチポイント:あと1点でマッチ(試合全体)の勝敗が決まるとき、スコアに添えてコールします。
そのラリーで勝敗が確定したら、主審は試合の終了を宣言します。終了後は、勝者を確認してスコアシートを整え、必要に応じて記録を提出します。
| 場面 | コールの考え方 |
|---|---|
| あと1点でゲーム決着 | スコアに「ゲームポイント」を添える |
| あと1点でマッチ決着 | スコアに「マッチポイント」を添える |
| 勝敗確定 | 試合終了を宣言し、勝者を確認 |
ゲームポイント・マッチポイントは、選手と観客の緊張感が高まる大切な場面です。スコアの読み間違いが起きやすいので、落ち着いてスコアシートを確認しながらコールしましょう。
初めて主審をやる人へのアドバイス
初めて主審を担当するときは、細かい英語コールを完璧に覚えることよりも、進行の骨格を押さえることが大切です。最低限、次の4点を意識すれば試合はきちんと進みます。
- スコアはサーバー側を先に読む
- サービス権が移ったら「サービスオーバー」と言い、新サーバー側から読み直す
- 11点で60秒、ゲーム間で120秒のインターバルを取り、20秒コールを入れる
- チェンジエンズのタイミング(各ゲーム終了時・第3ゲームの11点)を覚える
また、判定に迷ったときは無理に一人で抱え込まず、線審やサービスジャッジの判定を尊重しましょう。フォルトの判断に不安があるときは、バドミントンのフォルト(反則)一覧で事前にケースを整理しておくと安心です。線審のジェスチャーの読み取りは線審のやり方とジェスチャーが参考になります。
審判の技術をさらに高めたい方は、公認審判員の資格取得も選択肢です。公認審判員には1級・2級・3級・準3級の4階級があり、いずれも日本バドミントン協会の会員であることが前提となります。受験の詳しい要件は年度によって変わるため、日本バドミントン協会の最新の実施要項で確認してください。
本番前に、競技規則を手元に置いておくと安心です。※本記事の内容は代表的な運用例であり、インターバル・チェンジエンズ・コールの運用は大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
よくある質問
「ラブオール、プレー」はどういう意味ですか?
「ラブオール」はスコアが0対0であることを表し、「プレー」はマッチの開始(または各ゲームの開始)を宣言するコールです。「プレー」はマッチの開始とインターバル後の再開時のみ用います。
スコアはどちら側から先に読みますか?
常にサーバー(サービス側)のスコアを先に読みます。サービス権が相手に移ったら「サービスオーバー」とコールし、新しいサーバー側のスコアから読み直します。同点のときは「◯オール」とコールします。
インターバルは何秒ですか?
一方が11点に達したときのインターバルは60秒、ゲームとゲームの間のインターバルは120秒(2分)が代表的です。残り20秒で「20秒」を2回コールします。※大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。
チェンジエンズ(エンド交代)はいつ行いますか?
第1ゲーム終了時、第2ゲーム終了時(第3ゲームがある場合)、および第3ゲームでどちらかが11点に達したときにチェンジエンズを行うのが代表例です。
初めて主審をやるときに最低限おさえることは?
サーバー側のスコアを先に読むこと、サービス権が移ったら「サービスオーバー」を言うこと、11点で60秒・ゲーム間で120秒のインターバルを取り20秒コールを入れること、チェンジエンズのタイミングを覚えることの4点です。まずは競技規則を手元に置き、落ち着いて進行しましょう。
まとめ
- 主審は試合の進行役。スコアコール・サービスオーバー・インターバル管理・最終判定を担います。
- 試合はトス(第6条)から。勝者が「サービス/レシーブ」か「エンド」の一方を選び、敗者が残りを選びます。
- 開始は「ラブオール、プレー」。「プレー」はマッチ開始とインターバル後の再開時のみ使います。
- スコアは常にサーバー側を先に。サービス権が移ったら「サービスオーバー」で新サーバー側から読み直します。
- 11点で60秒、ゲーム間で120秒のインターバル。20秒コールとチェンジエンズのタイミングを押さえます。
基本の流れさえ掴めば、初めての主審でも落ち着いて進行できます。本記事は代表的な運用をまとめたものですので、実際の大会では必ず最新の競技規則・大会要項を確認し、当日の運営指示に従ってください。
公益財団法人日本バドミントン協会(競技規則・大会運営規程・公認審判員規程)
※競技規則・各種規程は年度版で改訂されることがあります。記事の内容は2026年7月時点の情報です。実際の大会では必ず最新の競技規則・大会要項をご確認ください。