張り上げ済みラケットとは?未張りとの違いと初心者が知っておきたい注意点
バドミントンを始めようとラケットを探していると、量販店には「すぐ使える」と書かれた安いラケットが並ぶ一方、専門店には「ガットは別料金です」と言われる未張りのフレームが並んでいて、「そもそも何が違うの?」「どっちを買えばいいの?」と戸惑う方は少なくありません。
この記事では、バドミントンのラケットが未張り(フレームのみ)販売を基本とする理由と、量販店に多い張り上げ済みラケットの仕組み・メリット・注意点、そして初心者はどう選べばよいかを、特定の商品に偏らない一般論としてやさしく解説します。読み終えれば、値札の「すぐ使える」に惑わされず、自分に合った1本を選ぶ判断基準が身につきます。
ラケットは「未張り」販売が基本
まず知っておきたいのは、バドミントンのラケットは「未張り(みばり)」=フレームだけの状態で売られるのが基本だという点です。バドミントンのラケットは「本体(フレーム)」と「ガット(張られる糸)」を分けて考えます。専門店でフレームを買い、その場でガットの種類とテンション(張りの強さ)を選んで張ってもらう、という流れが一般的です。
なぜ分けて売るのかというと、ガットの好みがプレーヤーによって大きく異なるからです。ガットには反発を重視するタイプ、耐久を重視するタイプ、打球音を重視するタイプなどがあり、張りの強さ(テンション)もレベルや体力によって適したものが変わります。フレームだけを売り、あとから好みのガットを組み合わせられるようにしているのは、こうした自由度を確保するためです。
「ラケットを買う=フレームを買う」で、ガットは別に選んで張ってもらうのが基本の考え方です。ガット代・張り工賃はフレーム価格とは別にかかります。工賃はガット代別でおおむね800〜1,500円程度が相場とされますが、店や地域により異なります。
ラケットやガットの基本的な選び方をもっと詳しく知りたい方は、バドミントンラケットの選び方 もあわせてご覧ください。重さ(U表記)・バランス・シャフトの硬さなど、フレーム選びの要素をレベル別の目安つきで解説しています。
張り上げ済みラケットとは
一方で、量販店やスポーツ用品店を中心に、あらかじめガットが張られた状態=「張り上げ済み」で売られているラケットもあります。「ガット張り上げ済み」「すぐ使えます」といった表示がその目印です。フレームとガットがセットになっていて、買ったその日からコートで打てるのが特徴です。
未張りとの違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 未張り(フレームのみ) | 張り上げ済み |
|---|---|---|
| 販売状態 | ガットは張られていない | ガットが張られ、すぐ使える |
| ガットの種類 | 自分で選べる | あらかじめ決まっている |
| テンション | 自分で指定できる(推奨範囲内) | あらかじめ決まっている |
| 主な販売先 | 専門店・スポーツ量販店など | 量販店・入門セットなど |
| 合う人 | 好みやレベルに合わせたい人 | まず手軽に始めたい人 |
張り上げ済みは、多くの場合扱いやすいとされる中間的なテンションと、標準的なガットで仕上げられていると言われます。誰にでもそこそこ合うように無難な設定にしてある、というイメージです。仕様は製品・販売店により異なるため、気になる場合は張られているガットの種類やテンションを店頭で確認するとよいでしょう。
張り上げ済みのメリット(すぐ使える・手頃)
張り上げ済みラケットには、はっきりとしたメリットがあります。特に「これから始める人」「体験・お試しで一度やってみたい人」にとって心強い選択肢です。
- 買ったその日から使える:ガットを張ってもらう時間や、張り上がりを待つ日数(混雑時は翌日以降になることもあります)が不要です。急に体育館の予約が取れた、明日サークルに参加する、といった場面でも間に合います。
- ガットの知識がなくても選べる:ガットの種類やテンションを自分で判断しなくてよいため、専門的な予備知識がなくても迷わず買えます。
- 手頃な価格帯がそろう:入門向けとして、比較的手に取りやすい価格の張り上げ済みモデルが多く用意されています。まず費用を抑えて始めたい人に向きます。
「今すぐ・気軽に始めたい」という目的なら、張り上げ済みは合理的な選択です。続けられそうかまず試したい段階では、無理に高価なフレーム+こだわりのガットを組む必要はありません。
注意点(ガット・テンションを選べない/低価格帯の素材)
手軽で便利な張り上げ済みですが、選ぶ前に知っておきたい注意点もあります。特に次の2つは、上達やコストに関わる大切なポイントです。
1. ガットの種類・テンションを自分で選べない
張り上げ済みは販売時点でガットとテンションが決まっているため、「もう少し反発がほしい」「音のいいガットにしたい」「テンションを上げたい」といった好みを反映できません。上達してプレースタイルが固まってくると、この点が物足りなく感じられることがあります。
ちなみにテンションは、初心者で16〜20ポンド前後、中級で20〜24ポンド、上級で27〜30ポンド程度が目安とされます(公的な基準ではなく相場観です)。ただし各ラケットにはメーカー推奨テンション範囲があり、これを超えて張ると保証対象外になったり、フレームのひび割れ・折れのリスクが高まります。テンションの考え方は ガットのテンション(ポンド)の目安 で詳しく解説しています。
2. 低価格帯には重い素材のフレームが含まれる
もう一つの注意点はフレーム本体の素材です。ごく低価格帯の張り上げ済みセット(1,000円程度など)には、アルミ製や鉄製のフレームが使われていることがあります。これらは重く、しなりも少ないため扱いにくく、上達を妨げやすいと言われます。
初心者に扱いやすいとされるのは、おおむね5,000円以上を目安としたオールカーボン製です。価格や素材はメーカー・製品によって異なるため一概には言えませんが、「安さ」や「すぐ使える」だけで選ばず、フレームの素材(カーボン製かどうか)を必ず確認しましょう。
| 素材の目安 | 傾向 | 初心者への向き |
|---|---|---|
| アルミ・鉄製(ごく低価格帯) | 重く、しなりが少ない | 上達を妨げやすく、あまり向かない |
| オールカーボン製(5,000円以上が目安) | 軽く扱いやすい | 初心者にも扱いやすいとされる |
※価格帯・仕様はメーカー・製品により異なります。金額はあくまで一般的な相場観の目安です。
初心者はどう選ぶべきか
ここまでを踏まえると、初心者の選び方は「張り上げ済みか未張りか」よりも、まずフレームの素材と品質を優先するのがポイントだとわかります。整理すると次の通りです。
- 素材はオールカーボン製を目安に:目安としておおむね5,000円以上のオールカーボン製なら、張り上げ済み・未張りのどちらでも扱いやすいとされます。
- ごく安いアルミ・鉄製は避けたい:1,000円程度の張り上げ済みセットはアルミ・鉄製のことがあり、重く上達を妨げやすいと言われます。素材表示を必ず確認しましょう。
- 「とりあえず体験」なら張り上げ済みでもOK:続けるか迷う段階なら、カーボン製の手頃な張り上げ済みで始め、続けられそうなら次の買い替えでこだわる、という流れも現実的です。
- こだわりたいなら未張り+専門店:ガットやテンションを自分に合わせたいなら、最初から未張りのフレームを買って専門店で相談するのが向きます。
初心者が最初に避けたいのは「素材が重いフレーム」です。張り上げ済み・未張りのどちらを選ぶにしても、オールカーボン製かどうかをまず確認すれば、大きな失敗は避けやすくなります。
なお、続けていく中で2本目を検討する段階になったら、2本目のラケットはどう選ぶ? も参考になります。同じモデルにすべきか、予備をどう考えるかの判断基準をまとめています。ラケットが2本以上になったら、それぞれのガット張り替え記録を残しておくと管理がぐっと楽になります。
専門店で張ってもらう選択肢
張り上げ済みで始めた場合も、ガットが切れたり、打球感の変化(飛ばない・フニャフニャする・打球音が変わる)を感じたら、専門店でガットを張り替えることになります。ここで初めて「自分で選ぶ」機会が訪れます。
専門店で張ってもらうメリットは、ガットの種類とテンションを自分のレベル・好みに合わせて選べること、そして店員に相談しながら決められることです。初心者なら「16〜20ポンド前後で」と伝えれば無難な提案を受けられますし、次はもう少し反発を、といった要望も反映できます。
張り替えの相場観も知っておくと安心です。工賃はガット代別でおおむね800〜1,500円程度が目安とされ、持ち込み(他店で買ったガット)は割増になる店が多い傾向です。作業自体はプロなら30分以内とされますが、混雑時は翌日以降の納期が確実な場合もあります。張り替え時期の目安は約3か月に一度、または季節の変わり目が一つの相場観で、切れていなくても張った直後から徐々に伸び、約3か月で本来の反発が失われるとされます。
張り替えのときは、フレームの穴に付ける管であるグロメットの点検・交換もお願いすると安心です。グロメットはガットの食い込みや角切れを防ぎ、フレームとガット双方を保護します。劣化を放置するとガット切れやフレームの陥没・破損につながることがあります。
なお、マシンを使わない手張り(自分で張ること)は難度が高く、ラケット破損のリスクがあり一般に非推奨です。張り機を持たない場合は、専門店やマシンのある店に任せるのが安心です。
※大会に出る予定がある場合、服装や用具の規定は大会の等級・主催者によって異なります。必ず出場する大会の要項で確認してください。
よくある質問
張り上げ済みラケットと未張りラケットは何が違いますか?
未張りラケットはフレームだけの状態で、ガットの種類やテンション(張りの強さ)を自分で選んで別途張ってもらいます。張り上げ済みラケットは、あらかじめメーカーや販売店でガットが張られていて、買ってすぐ使える状態のものです。バドミントンのラケットは未張り販売が基本で、量販店を中心に張り上げ済みモデルも並んでいます。張り上げ済みはガットの種類やテンションを自分で指定できないのが大きな違いです。
張り上げ済みラケットのガットのテンションは選べますか?
基本的に選べません。張り上げ済みは販売時点でガットの種類とテンションが決まっており、多くは扱いやすいとされる中間的な設定で仕上げられていると言われます。テンションやガットを自分好みに指定したい場合は、未張りのフレームを買って専門店で張ってもらう方法が向いています。なお各ラケットにはメーカー推奨テンション範囲があり、超えて張ると保証対象外になったりフレームのひび割れ・破損のリスクがあるため、範囲内で選ぶことが大切です。
初心者は張り上げ済みと未張りのどちらを買うべきですか?
どちらでも構いませんが、まず優先したいのはラケット本体の素材と品質です。初心者にはおおむね5,000円以上を目安としたオールカーボン製が扱いやすいとされ、1,000円程度のアルミ・鉄製は重く上達を妨げやすいと言われます。低価格帯の張り上げ済みセットにはアルミ・鉄製のフレームも含まれるため、価格や「すぐ使える」だけで選ばず、素材を必ず確認しましょう。価格帯や仕様はメーカー・製品により異なります。
張り上げ済みで買っても、あとで好きなガットに張り替えられますか?
はい、オールカーボン製など張り替えに耐える本体であれば、ガットが切れたときや性能低下を感じたときに、専門店で好きな種類・テンションに張り替えられます。張り替え工賃はガット代別でおおむね800〜1,500円程度が相場と言われますが、店や地域により異なります。張り替え時にはグロメット(フレームの穴に付ける管)の点検・交換も行ってもらうと、フレームとガット双方を保護できます。
専門店で未張りから張ってもらうメリットは何ですか?
ガットの種類とテンションを自分のレベルや好みに合わせて選べること、店員に相談しながら決められることが大きなメリットです。初心者は16〜20ポンド前後が目安とされるなど、レベルに応じた提案を受けられます。所要はプロの作業で30分以内とされる一方、混雑時は翌日以降の納期が確実な場合もあります。手張り(マシンなし)は難度が高くラケット破損のリスクがあり一般に非推奨のため、専門店やマシンのある店に任せるのが安心です。
まとめ
- バドミントンのラケットは未張り(フレームのみ)販売が基本で、ガットは種類とテンションを選んで別途張ってもらいます。
- 張り上げ済みはガットが張られ買ってすぐ使えるラケットで、量販店に多く、すぐ使える・手頃という明確なメリットがあります。
- 注意点はガット・テンションを自分で選べないことと、ごく低価格帯にはアルミ・鉄製の重いフレームが含まれることです。
- 初心者はまずオールカーボン製(おおむね5,000円以上が目安)を選ぶことを優先し、素材表示を必ず確認しましょう。
- こだわりたい・上達してきたら、未張り+専門店でガットとテンションを自分に合わせるのがおすすめです。推奨テンション範囲は必ず守りましょう。
「張り上げ済みか未張りか」で迷ったら、まずは自分の目的(今すぐ気軽に始めたいのか、こだわって選びたいのか)と、フレームの素材を確認するのが近道です。どちらを選んでも、続けていく中でガットの張り替えは必ず発生します。自分に合った1本と付き合いながら、少しずつ道具の知識を増やしていきましょう。
本記事は各メーカー公式サイトの規格情報と、複数のバドミントン専門店・専門メディアで共通して語られる内容をもとに編集部が構成しています。
※数値・仕様はメーカー・製品により異なります。購入・使用の際は各製品の表示をご確認ください。