ガットが切れる原因5つと対策|下手切れ・グロメット・気温との関係
「張り替えたばかりなのに、またすぐ切れた」——ガット切れが続くと、自分の張り方や打ち方が悪いのかと不安になりますよね。実は、ガットが切れる原因はひとつではありません。正常な寿命による摩耗もあれば、打ち方・部品の劣化・気温・テンションなど、いくつかの要因が関わっています。
この記事では、ガットが切れる原因を5つに分類し、切れ方や切れる位置から原因を見分けるコツと、それぞれの対策をわかりやすく解説します。読み終えるころには「なぜ切れるのか」「どう対処すればいいのか」が整理できます。
ガットは消耗品|切れるのは異常ではない
まず大前提として、ガット(ストリング)は消耗品です。打つたびに少しずつ摩耗し、いずれ切れます。切れること自体は故障や失敗ではなく、使い込んだ証でもあります。ですから「切れた=自分が悪い」と考えすぎる必要はありません。
バドミントンのガットはほとんどがナイロン製で、細い繊維を束ねたマルチフィラメント構造が主流です(単芯のモノフィラメントもあります)。性能タイプは反発系・耐久系・コントロール系・打球音系に大別され、どれを選ぶかで切れやすさも変わります。つまり、切れる頻度はガットの選び方・張り方・打ち方・環境の組み合わせで決まるということです。
大切なのは、切れる原因を切り分けて「どこを直せば長持ちするか」を知ることです。以下では、ガットが切れる主な5つの原因を順に見ていきます。切れた位置や状況を覚えておくと、原因の見当がつけやすくなります。
切れるのは正常な現象。ただし「すぐに」「同じ場所で」繰り返し切れるなら、寿命以外の原因が潜んでいるサインです。切れた位置をチェックする習慣が原因究明の第一歩になります。
原因1: 打球による摩耗(正常な寿命)
最も基本的な原因が、打球による摩耗です。ガット同士は打つたびに擦れ合い、シャトルとの衝撃も受け続けます。長く使えばガットの表面が削れ、やがて面の中央付近(スイートスポット周辺)で切れます。これは正常な寿命であり、防ぎようのない自然な劣化です。
面の中央付近で切れた場合は、この摩耗による寿命である可能性が高いと考えられます。打った回数が多いほど早く切れるため、練習量の多い人ほど張り替え頻度が上がるのは自然なことです。
なお、切れていなくてもガットは劣化します。張った直後から少しずつ伸び、約3か月で本来の反発が失われるとされます。飛ばない・打球感がフニャフニャする・打球音が変わったといった緩みのサインが出たら、切れる前でも張り替えを検討しましょう。詳しくはガットの張り替え時期はいつ?で解説しています。
面の中央付近で切れるのは寿命のサイン。摩耗による切れは避けられませんが、耐久系のガットを選ぶことで頻度を下げられます。※交換時期・耐久性の目安はメーカー・製品により異なります。
原因2: 下手切れ(フレームショット・切れる位置でわかる)
「下手切れ」とは、面の中央(スイートスポット)を外し、フレームに近い外周部で打ってしまうこと(フレームショット)で起こる切れ方です。フレーム寄りのガットは支点に近く負担がかかりやすいうえ、フレームやグロメットの縁に触れて削られやすいため、中央で打つより切れやすくなります。
ここでポイントになるのが「切れる位置」です。切れた場所で、原因の見当をつけられます。
| 切れた位置 | 疑われる主な原因 |
|---|---|
| 面の中央付近 | 打球による摩耗(正常な寿命) |
| フレームに近い外周部 | フレームショット(下手切れ)、またはグロメット劣化 |
| いつも同じ穴の近く | グロメットの劣化の可能性が高い |
フレーム寄りでばかり切れる場合は、芯を外して打っている(フレームショットが多い)可能性があります。これは打点やスイートスポットで捉える技術の改善で減らせる部分です。ラケットの操作性は用具の相性にも左右されるため、ラケットのバランスポイントや重さの選び方を見直すのもひとつの手です。
フレーム寄りで頻繁に切れるのは「芯を外している」サインかもしれません。ガットの問題ではなく、打点を安定させる練習で改善できる余地があります。
原因3: グロメットの劣化
グロメットとは、フレームの穴に差し込まれたナイロン/プラスチック製の小さな管です。ガットはこのグロメットの中を通っており、ガットの食い込みや角での切れ(角切れ)を防ぎ、フレームとガット双方を保護しています。
このグロメットが割れたり潰れたりして劣化すると、ガットがフレームの硬い縁に直接当たり、削られて切れやすくなります。とくに「いつも同じ穴の近くで切れる」ときは、そのあたりのグロメット劣化を疑いましょう。劣化を放置すると、ガット切れが頻発するだけでなく、フレームの陥没や破損につながることもあります。
グロメットの交換はガットを外した状態でおこなう作業のため、次の張り替えのタイミングで一緒に依頼するのが基本です。役割・劣化のサイン・交換の頼み方はグロメットとは?役割と交換時期で詳しくまとめています。
同じ場所で繰り返し切れるなら、打ち方より部品(グロメット)が原因のことも。張り替え時に「切れた位置」を伝えて点検してもらいましょう。
原因4: 低気温(冬の対策)
意外と見落とされがちなのが、気温の影響です。低気温になるとガットが縮んで張力が上がり、硬く切れやすい状態になりやすくなります。冬場に「同じ張り方なのに切れやすい」と感じるのは、この気温の影響が一因です。
冬の対策としては、次のような調整が挙げられます。
- テンションを少し下げる……ふだんより張力を控えめにして、寒さで硬くなる分を見込みます。
- 太めのゲージを選ぶ……耐久性の高い太めのガットにして、切れにくさを優先します。
ガットの太さ(ゲージ)はおおむね0.61〜0.70mm程度の製品が流通しており、細いほど反発・打球音・引っかかりに優れる一方で切れやすく、太いほど耐久性が高い代わりに反発・音は劣る、というトレードオフがあります。冬の耐久重視なら太め、という選び方が理にかなっています。詳しくはガットの太さ(ゲージ)の違いを参考にしてください。
冬は「テンションを少し下げる+太めのゲージ」で切れにくくできます。下げ幅の目安はプレースタイル・製品で異なるため、張り替え時に季節を伝えて相談すると調整しやすくなります。
原因5: 高テンションの負荷
高いテンションで張ると、ガットには常に大きな張力がかかり続けるため、一般に切れやすく寿命も短くなる傾向があります。反発や打球感を求めてテンションを上げるほど、切れやすさとのトレードオフになる点は知っておきましょう。
テンションのレベル別の相場観(公的な基準ではありません)は、次のとおり語られます。
| レベル | テンションの相場観(目安) |
|---|---|
| 初心者 | 16〜20ポンド前後 |
| 中級 | 20〜24ポンド |
| 上級 | 約27〜30ポンド |
基本は、スイングスピードに合わせて段階的に上げていくことです。振りが速くないうちに高テンションで張っても、飛ばずに力むだけで切れやすくなりがちです。さらに重要な注意点として、各ラケットにはメーカーが定める推奨テンション範囲があり、これを超えて張ると保証の対象外になったり、フレームのひび割れや折れのリスクが生じます。無理な高テンションは避け、必ず推奨範囲内で調整してください。
推奨テンションを超えて張るのはメーカー保証外で、破損のリスクがあります。数値はあくまで相場観の目安で、公的基準ではありません。自分のラケットの推奨範囲内で、段階的に調整しましょう。
切れにくくする選択肢と練習面の改善
ここまでの5つの原因をふまえ、ガットを切れにくくする選択肢を整理します。用具の面と、練習・技術の面の両方からアプローチできます。
| アプローチ | できる対策 |
|---|---|
| ガット選び | 耐久系・太めのゲージを選ぶ(反発・音とのトレードオフあり) |
| テンション | 推奨範囲内でやや下げる。冬はさらに控えめに |
| 部品の点検 | 張り替え時にグロメットを点検・交換する |
| 環境 | 冬場はテンション・ゲージを季節に合わせて調整 |
| 練習・技術 | 芯(スイートスポット)で捉え、フレームショットを減らす |
用具でできる対策には限界があり、フレーム寄りでばかり切れるなら、最終的には打点を安定させる技術の改善が効きます。芯で捉える感覚は反復練習で育つもので、これはガットの持ちだけでなくショットの質にも直結します。
切れる頻度が下がっても、ガットは約3か月で反発が失われるため、定期的な張り替えは欠かせません。張り替え工賃はおおむね800〜1,500円程度が相場観とされ(ガット代別、持ち込みは割増の店が多い)、金額はお店・製品により異なります。自分でどれくらいの頻度で切れているか・張り替えているかを記録しておくと、最適な張り替えサイクルやガット選びが見えてきます。スマートスコアなら、ラケットごとのガット種類・テンション・張替日・経過日数の記録や、シャトル代・ガット張り代のコスト管理まで無料で行えます。
「切れにくいガット選び」と「芯で捉える練習」は両輪です。用具でできる対策を尽くしたうえで、フレームショットを減らす技術改善が根本的な近道になります。
よくある質問
ガットが切れるのは張り方が下手だからですか?
必ずしも張り方のせいとは限りません。ガットは消耗品で、打球による摩耗で切れるのは正常な寿命です。一方、フレームの中央を外して打つフレームショット(いわゆる下手切れ)や、グロメットの劣化、冬場の低気温、推奨を超える高テンションなども原因になります。切れた位置や状況で原因の見当がつくため、フレーム寄りで切れるならスイート面を外して打っている可能性、面の中央付近で切れるなら摩耗による寿命の可能性が高いと考えられます。
冬になるとガットがよく切れるのはなぜですか?
低気温になるとガットが縮んで張力が上がり、硬く切れやすい状態になりやすいためです。冬場の対策としては、張るテンションをふだんより少し下げる、耐久性の高い太めのゲージを選ぶ、といった調整が挙げられます。数値の下げ幅はプレースタイルや製品により異なるため、張り替えを頼むお店に季節を伝えて相談すると調整しやすくなります。
テンションを上げると切れやすくなりますか?
高いテンションはガットへの負荷が大きく、一般に切れやすく寿命も短くなる傾向があります。加えて、各ラケットにはメーカーが定める推奨テンション範囲があり、これを超えて張るとメーカー保証の対象外になったり、フレームのひび割れや折れのリスクが生じます。上級者ほど高めのテンションを使う傾向はありますが、スイングスピードに合わせて段階的に上げるのが基本で、無理な高テンションは避けましょう。
切れにくいガットにするにはどうすればいいですか?
耐久性を優先するなら、0.61〜0.70mm程度で流通するゲージのうち太めのガットを選ぶと切れにくくなります。ただし太いガットは反発や打球音では細いガットに劣るため、トレードオフになります。テンションを推奨範囲内でやや下げる、グロメットの劣化を張り替え時に点検・交換する、といった対策も有効です。数値の目安はメーカー・製品により異なるため、お店に耐久重視の希望を伝えて選ぶとよいでしょう。
切れていなくても張り替えたほうがいいですか?
はい、切れていなくても張り替えは必要です。ガットは張った直後から少しずつ伸び、約3か月で本来の反発が失われるとされます。飛ばない・打球感がフニャフニャする・打球音が変わったといったサインが出たら緩みのサインです。相場観として約3か月に一度、または季節の変わり目での張り替えが目安とされますが、使用頻度により前後します。
まとめ
- ガットは消耗品で、打球摩耗による寿命で切れるのは正常。面の中央付近で切れるのは寿命のサインです。
- フレーム寄りで切れる「下手切れ」は、芯を外すフレームショットが原因。切れる位置で原因を見分けられます。
- 同じ穴の近くで繰り返し切れるならグロメット劣化を疑い、張り替え時に点検・交換を。
- 冬の低気温は切れやすさの一因。テンションを少し下げる・太めのゲージにするなどで対策できます。
- 高テンションは切れやすく、推奨範囲を超えると保証外・破損リスク。段階的に推奨内で調整しましょう。
ガットが切れる原因は5つに整理でき、切れた位置や季節から見当をつけられます。用具でできる対策(耐久系・太めのガット、テンション調整、グロメット点検)を尽くしたうえで、フレームショットを減らす練習が根本的な近道です。※数値・仕様はメーカー・製品により異なります。推奨テンションを超える張りは避け、必ずお使いのラケットの表示を確認してください。
本記事は各メーカー公式サイトの規格情報と、複数のバドミントン専門店・専門メディアで共通して語られる内容をもとに編集部が構成しています。
※数値・仕様はメーカー・製品により異なります。購入・使用の際は各製品の表示をご確認ください。