ルール・審判・運営

巴戦(3すくみ)の順位はどう決める?同率3者の処理方法と運営の備え

バドミントンのリーグ戦で、AがBに勝ち、BがCに勝ち、CがAに勝つ——勝敗が一巡して全員が1勝1敗で並ぶ「巴戦(3すくみ)」。3者の順位がつかず、集計で頭を抱えた経験のある運営担当者は少なくありません。

この記事では、大会運営者・審判・サークル幹事の方に向けて、巴戦が起きる仕組み、順位をつけるための代表的な処理方法と具体的な計算例、それでも並んだときの対応、そしてトラブルを防ぐために要項へ明記しておくべきことをまとめます。

巴戦(3すくみ)とは

巴戦(3すくみ)とは、3者による総当たり(リーグ戦)で勝敗が一巡し、全員が同じ勝敗数で並んでしまう状態を指します。じゃんけんのグー・チョキ・パーのように、誰が誰に強いかが循環しているイメージです。

3チーム(または3人)の総当たりは、総試合数の式 n×(n-1)÷2 により 3×2÷2=3試合 です。この3試合が次のように決まると巴戦になります。

試合結果
A 対 BA の勝ち
B 対 CB の勝ち
C 対 AC の勝ち

この結果、A・B・C はいずれも 1勝1敗 となり、直接対決(当該者同士の勝敗)でも順位がつきません。A は C に負け、C は B に負け、B は A に負けているため、「勝った相手が誰か」をたどっても循環してしまうのです。

ポイント

巴戦は「勝敗数」だけでは順位が決められない状態です。だからこそ、ゲーム率・ポイント率といった次の判定基準を、あらかじめ大会要項で決めておく必要があります。基準は大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。

なお、リーグ戦全体の順位決定の考え方(勝数・マッチ率・ゲーム率・ポイント率をどの順に見るか)は、バドミントンのリーグ戦の順位決定方法でくわしく解説しています。巴戦はその中の「3者が並ぶ特殊ケース」にあたります。

順位を決める代表的な処理方法(計算例つき)

巴戦の順位をつける手順は、大会ごとに要項で定めるものですが、多くの大会は次のような段階を踏みます。ここでは代表例として、バドミントン日本リーグの順位決定基準の考え方をベースに紹介します。実際の採用基準は大会により異なります。

  1. 勝点・勝敗数で比べる(巴戦では並ぶ)
  2. 並んだら取得ゲーム率(取ゲーム数 ÷ 総ゲーム数)で比べる
  3. なお並んだら取得ポイント率(取得点 ÷ 総得点)で比べる

団体戦の場合は、これらの前に「取得マッチ率」(勝ったマッチ数の割合)を見る方式もあります。以下では、3人のシングルスリーグを想定して具体的に計算してみましょう。得点ルールは現行の21点制(2027年1月4日から15点制へ移行予定)で計算します。

ステップ1:勝敗数はすべて1勝1敗で並ぶ

前掲の巴戦の3試合について、ゲームスコアを次のように置きます。

試合スコア(ゲーム)勝者
A 対 BA 2 - 0 B(21-15, 21-17)A
B 対 CB 2 - 1 C(21-18, 18-21, 21-19)B
C 対 AC 2 - 0 A(21-19, 21-16)C

3人とも1勝1敗。ここで取得ゲーム率で差をつけます。

ステップ2:取得ゲーム率で比べる

取得ゲーム率=(取ったゲーム数)÷(行ったゲームの総数)です。各自2試合を戦っています。

選手取ゲーム総ゲームゲーム率
A2(対B 2+対C 0)40.500
B2(対A 0+対C 2)50.400
C3(対B 1+対A 2)50.600

この例では C(0.600)> A(0.500)> B(0.400) となり、ゲーム率だけで3者の順位が確定します。1位C・2位A・3位Bです。

ポイント

「循環で並ぶ」のはあくまで勝敗数の話。ゲーム数・得点まで見ると、たいていの巴戦はこの段階で差がつきます。だからこそ3ゲーム目までのスコアを正確に残すことが判定の生命線になります。

ステップ3:ゲーム率も並んだらポイント率で比べる

3試合すべてが 2-0 や 2-1 のそろい方によっては、ゲーム率まで並ぶこともあります。その場合は取得ポイント率(取得点 ÷ 総得点)で判定します。仮にゲーム率が全員 0.500 で並んだケースで、各自の合計得点・失点が次のようになったとします。

選手取得点失点総得点(取+失)ポイント率
A78801580.494
B80791590.503
C81801610.503

この場合、B と C が 0.503 で並び、A が 0.494 で最下位という判定になります(数値は端数処理により見え方が変わることがあります)。上位2者がなお並ぶときは、次章の「それでも並んだら」の処理に進みます。

総当たりそのものの対戦順の組み方や、公平な試合順・休憩配分についてはリーグ戦(総当たり)の組み方で解説しています。あわせてご覧ください。

ポイント

採用する基準(ゲーム率・ポイント率・マッチ率)とその順序は大会ごとに要項で定めるものです。ここで示したのは代表例であり、統一された唯一の正解ではありません。※大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。

それでも並んだら(抽選など・大会規定次第)

勝敗数・ゲーム率・ポイント率まで見て、なお完全に並ぶ——確率は低いものの起こり得ます。この最終局面の処理は、大会規定によって次のように分かれます。

処理方法内容採用されやすい場面
抽選(くじ引き)レフェリー立ち会いのもとで抽選し順位を決める追加試合の時間・コートが取れない大会
プレーオフ(順位決定戦)並んだ者同士で再度対戦して決める時間・コートに余裕がある大会
特別試合を行わない率の基準までで打ち切り、それでも並べば別途規定で処理日本リーグ規定など(順位決定の特別試合は行わない)

バドミントン日本リーグの規定では、順位決定のための特別試合は行わないとされています。一方、地域の一般大会ではプレーオフや抽選を採用する要項も多く見られます。どれを採るかは要項次第です。

ポイント

「最後は抽選」と決めているなら、抽選の方法(誰が・いつ・どこで引くか)まで要項に書いておくと、当日その場で決める必要がなくなり、参加者の納得も得やすくなります。※処理方法は大会・年度により異なる場合があります。最新の大会要項でご確認ください。

もめないために要項へ明記すべきこと

巴戦のトラブルは、そのほとんどが「事前に決めていなかった」ことから生じます。順位決定の基準を後から持ち出すと、どうしても不公平感が残ります。次の項目を大会要項へ明記しておきましょう。

  • 順位決定の基準と順序:勝点/勝敗数 → 取得マッチ率 → 取得ゲーム率 → 取得ポイント率 のうち、どれをどの順で見るか
  • すべて並んだときの最終処理:抽選・プレーオフ・打ち切りのいずれか、およびその実施方法
  • 棄権・失格の扱い:棄権時の記録方法や、勝点の減算・出場停止の有無
  • ゲーム形式:3ゲームマッチか1ゲームマッチか(率の計算に直結)
  • 端数処理:ゲーム率・ポイント率を小数第何位まで見るか

とくに棄権・失格は、率の計算に大きく影響します。大会運営規程の代表例では、マッチを棄権した者は同一大会のその後の全種目に出場できない、失格者は同一大会の全エントリー種目で失格、といった扱いがあります(競技規則・大会運営規程の該当条文レベル)。棄権時の記録は「直前のスコアを記し棄権の旨を書き添える」とされる例もあります。こうした扱いを要項にそろえておくことが大切です。

ポイント

組合せや配置の実務(レフェリーの指示のもとで厳正に行う、所属を等分に分ける等)も規程に沿って運営すると、そもそも不公平な巴戦の温床を減らせます。大会形式そのものの選び方は大会フォーマットの選び方も参考にしてください。※規程・条文は年度版で改訂されることがあります。最新の競技規則・大会運営規程でご確認ください。

スコアを正確に記録する重要性

ここまで見てきたとおり、巴戦の順位はゲーム率・ポイント率という「1点単位の記録」で決まります。つまり、スコアの記録が不正確だと順位そのものが変わってしまうのです。

たとえば前掲のポイント率の例で、B の1試合の得点が実際より1点多く記録されていれば、B と C の順位が入れ替わり、上位進出者が変わってしまいます。手書きの集計用紙では、こうした転記ミスや計算ミスが起こりがちです。

  • 全試合のゲームスコア(3ゲーム目まで)を残す
  • 棄権・不戦の試合も規程どおりに記録する
  • ゲーム率・ポイント率は自動計算で転記ミスを防ぐ
  • 集計結果を参加者に公開し、透明性を確保する

スマートスコアを使えば、各試合のスコアをそのまま入力するだけで、勝敗数・ゲーム率・ポイント率までを自動集計できます。巴戦のような同率のケースでも、記録に基づいて順位を機械的に算出できるため、集計の負担と人的ミスを大きく減らせます。

ポイント

「巴戦の判定でもめない」ための一番の備えは、特別な計算式ではなく、すべての試合のスコアを正確に残しておくことです。基準を要項に定め、記録を正確にそろえておけば、どの基準を使っても公平に順位が決まります。

よくある質問

巴戦(3すくみ)とは何ですか?

3者のリーグ戦などで、AがBに、BがCに、CがAに勝ち、勝敗が一巡して全員が1勝1敗で並んだ状態を巴戦(3すくみ)と呼びます。勝敗数だけでは順位がつかないため、ゲーム率やポイント率など次の基準で差をつけます。基準は大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。

同率3者が並んだとき、まず何で順位を決めますか?

代表例として、まず勝点や勝敗数で比べ、それが並んだら取得ゲーム率(取ゲーム数÷総ゲーム数)、なお並んだら取得ポイント率(取得点÷総得点)の順で差をつける方法があります。ただし採用する基準と順序は大会ごとに要項で定められ、統一された唯一の正解があるわけではありません。

ゲーム率もポイント率も同じで決まらないときはどうしますか?

すべての基準で並んだ場合は、抽選(くじ引き)で決めるのが代表的です。ただし処理方法は大会規定によって異なるため、必ず事前に要項へ明記しておくことが大切です。※大会・年度により異なる場合があります。最新の競技規則・大会要項でご確認ください。

巴戦を避けるために別途プレーオフ(順位決定戦)を行いますか?

バドミントン日本リーグの規定では順位決定の特別試合は行わず、率の基準で決めるとされています。一方で一般大会ではプレーオフや再戦を採用する要項もあります。追加試合を行うかどうかは要項次第で異なるため、事前に定めておく必要があります。

巴戦の判定でスコアが正確でないとどうなりますか?

ゲーム率・ポイント率で順位を決める場合、1点の記録違いが順位を左右し、上位進出者が入れ替わることがあります。棄権時の記録なども規程どおりに残す必要があるため、全試合のスコアを正確に記録・保存しておくことが公平な判定の前提になります。

まとめ

  • 巴戦(3すくみ)は、A→B→C→A と勝敗が一巡し全員が1勝1敗で並ぶ状態。勝敗数だけでは順位がつかない。
  • 代表的な処理は、勝点/勝敗数 → 取得ゲーム率 → 取得ポイント率 の順で差をつける方法。多くはゲーム率までで確定する。
  • すべて並んだら抽選・プレーオフ・打ち切りなど。どれを採るかは大会規定次第で、要項に定めておく。
  • 順位決定の基準・順序・最終処理・棄権失格の扱いを、事前に要項へ明記することがトラブル防止の要。
  • 率は1点単位で効くため、全試合のスコアを正確に記録・自動集計しておくことが公平な判定の前提になる。

巴戦は「困った例外」ではなく、事前準備でほとんど防げる運営課題です。基準を要項に定め、スコアを正確に残す——この2つを徹底すれば、同率3者が並んでも落ち着いて公平に順位を決められます。※本記事の内容は代表例であり、実際の大会では必ず最新の競技規則・大会要項をご確認ください。

参考・出典

公益財団法人日本バドミントン協会(競技規則・大会運営規程・公認審判員規程)

※競技規則・各種規程は年度版で改訂されることがあります。記事の内容は2026年7月時点の情報です。実際の大会では必ず最新の競技規則・大会要項をご確認ください。

スマートスコア編集部
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